2023 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of integrated conservation based on artificial propagation of hard-to-propagate orchids that are almost extinct in Turkey and neighboring regions.
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23KK0196
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三吉 一光 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 特任研究員 (60312237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 悠 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 特任助教 (00980723)
出口 亜由美 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 講師 (20780563)
蘭光 健人 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (40907987)
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, グループ長 (50280524)
辻田 有紀 佐賀大学, 農学部, 准教授 (80522523)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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Keywords | ラン科 / 絶滅危惧種 / 統合的保全 / 塊茎形成 / サレップ / 非共生発芽 / 共生発芽 / 種子埋設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題採択後に直ちに訪土計画を立案し、2023年10月28日より11月5日まで、共同研究者のトルコ共和国アクデニズ大のKenan Turgut教授を訪ねて、室内実験の環境の確認、同大学部長との面談、研究対象であるラン科危急種の自生地の訪問、および同自生地の保護管理を行なっている、同国森林管理局の地域部局長および担当者を訪問して、研究事業の趣旨を説明するなどして、研究が速やかに始められる体制を整えた。 訪問時およびその後のやりとりによって、研究対象として当面7分類群を主な対象とし、自生地も大学の近傍の1カ所を含む3カ所を候補地として選定した。これらの3候補地から、第二回の訪問で研究対象の自生地を2カ所に絞り込む。 また、既に保持していた、研究対象の3分類群他1分類群の非共生培養を行なった。 その結果、カビの汚染を抑えると同時に速やかに発芽する、殺菌条件を見出した。また、発芽の成否には、種子の有胚率が大きく影響し、有胚率の低い種子集団では発芽率が低いことが明らかとなった。 さらに、2024年4月中旬-5月上旬の第二回訪土および5月下旬-6月上旬の第三回訪土における研究・研究交流の計画の立案を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究のカウンターパートを、採択後に直ちに訪問して、諸調整を行ない、速やかに研究が始められるようになった。また、採択後にオンラインで研究分担者全員の参加による、キックホフミーティングを開催し、研究遂行上の問題点を探るとともに、共通的な認識をもつなど、共同研究の円滑な進行を図った。このような交流により、2024年度4-6月にかけて実施される、2回のトルコを訪問して実施する研究計画も円滑に策定できた。 さらに、食用の粉末であるサレッ原料原料として重要な、ラン科分類群を含む三種において、in vitroの非共生培養によって種子発芽およびプロトコーム形成がみられており、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
第二回のトルコ訪問は4月中旬から始まっており、さらに第三回の同訪問も研究分担者および受け入れ側との調整が済んでいる。本課題のサレップランの人工繁殖と保全は、トルコではこれまで充分な成果が得られておらず、本研究に対する期待は大きいことも現地を訪問して、改めて確認出来た。当初の研究計画ではより多くの分類群を取り扱うとしていた。しかし、非共生培養、共生培養さらには種子埋設などによる多角的なアプローチによる、対象とする現象の全貌の解明には、数種に絞って研究資源を集中的に投入し進めるほうが有利と考えた。このため、2024年度は5-7分類群を主な研究対象とする。他の分類群は、先述の5-7分類群における人工繁殖の条件の解明によって得られた知見を基に、2025年以降に多くの分類群を用いたスクリーニングを行なった方が、結果的に効率がよいと判断した。
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Causes of Carryover |
すでに開封済みの試薬や消耗品などを利用したため、新規の購入をしなかった。一方、現地の研究協力者と研究の具体的な進め方について、協議する必要があったため、急遽渡航した。
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