2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of extracorporeal VAD housing having excellent blood compatibility using anti-fouling peptide immobilization technology
Project/Area Number |
23KK0204
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
柿木 佐知朗 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (70421419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
奥野 陽太 関西大学, 化学生命工学部, 助教 (60964814)
上田 正人 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (40362660)
高井 真司 大阪医科薬科大学, 医学部, 教授 (80288703)
橋本 朋子 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (10589930)
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Project Period (FY) |
2023-09-08 – 2027-03-31
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Keywords | 血液適合表面 / アンチファウリングペプチド / 人工心臓ハウジング / オリゴプロリン |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、オリゴプロリン誘導体の合成とポリウレタン試料へのコーティングに取り組んだ。ポリウレタン製人工心臓ハウジングにアンチバイオファウリングペプチドであるオリゴンプロリンを修飾する際、現行法(金-チオール結合)では貴金属の中間層の作製が必須となる。そこで、オリゴプロリンをポリウレタン試料表面に直接かつ簡便にコーティングすることを目的として、親水性のオリゴプロリンに疎水性の中鎖脂肪酸を導入した誘導体を設計・合成した。汎用のFmoc固相法で、オリゴプロリン(Pro9)のN末端にアルキル鎖長の異なる中鎖脂肪酸(C16~24程度)を導入した誘導体を合成できた。この誘導体はアルコールに溶解し、特にC18程度以上のアルキル鎖を導入したものは水不溶性を示した。そこで、これら誘導体の各種アルコール溶液を調製し、ポリウレタン基材に滴下、乾燥後、水に浸漬して経時的に表面の静的水接触角を測定したところ、特定の条件で水溶性の低い誘導体をコートした表面では1週間程度、20°程度の水接触角を維持した。これら誘導体をコートしたポリウレタン表面にヒト血小板を播種したところ、未コート試料と比較して血小板の粘着数が小さくなる傾向が認められた。脂肪酸のアルキル鎖長とオリゴプロリンの親疎水性のバランスがコーティング層の安定性や血漿タンパク質の吸着抑制能に影響をおよぼすことを示唆する結果も得た。 しかし、これら誘導体の吸着によるポリウレタン試料へのコーティングでは14日程度しか表面の親水性を維持できなかったことから、共有結合を介したオリゴプロリンの修飾が好ましいという結論にいたった。2024年度は、上記誘導体コーティングポリウレタン試料の短期的な機能(血液適合性など)を評価するとともに、中鎖脂肪酸に代わる生体分子を利用して共有結合を介したオリゴプロリンのポリウレタン試料への修飾に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の半年間で、中鎖を導入したオリゴプロリン誘導体の合成とポリウレタン試料へのコーティング、およびコーティング層の安定性を評価することができた。また、ポーランドでは本研究で用いるポリウレタン製人工心臓ハウジングの作製やその血液適合性評価の最適化に着手していることから、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の通り、オリゴプロリン誘導体をコーティングもしくは共有結合的に修飾したポリウレタン試料を作製し、その基本的な表面特性の評価に取り組む。さらに、年内にはポーランド側の研究施設を訪問し、オリゴプロリン誘導体修飾ポリウレタン試料の血液適合性の評価を実施する。さらに、同オリゴプロリン誘導体で修飾したポリウレタン製人工心臓ハウジングの作製方法を検討し、その基礎的な評価(表面特性やタンパク質吸着特性)に着手したい。いずれも、分担研究者らと積極的に議論しながら取り組む。
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Causes of Carryover |
前年度中に使用を予定した試薬のために予算を残していたが、実験計画の変更によって同試薬の使用が次年度となったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、予定通り試薬の購入に充てる。
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Research Products
(5 results)