2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24226017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅沼 克昭 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (10154444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 徹 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20622038)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | 電気接続・配線 / パワー半導体 / エレクトロマイグレーショ ン / 異相界面 / ウィスカ |
Research Abstract |
1) SiCダイアタッチ材料としてZnシートによる接合の検証を行い、Crの微量添加が酸化防止と展性の維持に重要であることを解明した。 2) 銀フレークを用いたペーストを作成し、Si及びSiCのダミーチップとDBC基盤を用いて焼結ダイアタッチを実行し、各種環境耐性テストにより耐久性の検証を行った。その結果、銀フレークペーストを用いたダイアタッチは高温温度サイクルによる極限環境下でも十分な性能を有することを示した。 3) 銀スパッタ膜による直接接合を実験、検証し、この技術の基礎が応力マイグレーションにあることを解明した。成膜条件及び接合条件により応力を最適化することが接合結果に重要である。 4) エレクトロマイグレーションその場観察・評価装置を設計・作成し、設計通りに動作する事を確認した。 5) パワー半導体の電極面の配線をCuダミーチップ表面上にアルミニウムリボンを超音波接合を用いて形成する事が可能であることを実証した。 6) リードフレーム上の錫メッキからの各種ウィスカ発生を観察し、その成長は錫めっき膜のグレイン組織制御にあることを確認した。また鉛の含有量が1%でもウィスカ抑制効果があることを示し、低含有量における新たなウィスカ抑制過程を解明した。また、鉛の代わりにビスマスを2%添加することで、応力、高温高湿、温度サイクル、常温放置、等の各種条件下で有効にウィスカ発生が抑制されることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
極限環境下のパワー半導体の実現に向けて着々と研究を進めており、特に以下の点で進展が著しい。 1) 高温動作に向けた高温耐性ダイアタッチ技術は、ひとまず銀ペースト接合技術の基礎づけが完了した。さらに低コスト化とプロセスの簡便化を実現すべく他の金属フレーク接合の最適化、Znシート接合の応用などの研究が進んでいる。 2) 特に銀スパッタ接合については、その原理が科学的にほぼ解明されたので、今後の最適化が容易になると見られる。 3) FE-SEM, その場観察装置など、購入、作製した各種機器によって界面観察の技術が飛躍的に進歩しており、今後も高度な実験・評価技術を用いた研究の進展が見込まれる。 4) 鉛を使用せずに、代わりにビスマスを用いてスズめっきのウィスカー発生を抑制する技術が見つかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1) SiC ダイアタッチの応力緩和放熱接合材料・構造として採用したZnシートによる接合の検証を進めており、Cr の微量添加が酸化防止及び展性の保持に最適であることがわかった。しかし、熱サイクル耐性の結果のFE-SEM観察から、界面IMCの成長制御と熱応力緩和特性が重要である事が確認されたため、引き続き界面のバリア膜の最適化および応力緩和特性の改良を行う。 2) フレークペーストを用いた焼結接合については、市販の銀フレークによっても十分な接合特性と熱サイクル耐性が得られることがわかったが、引き続きアトライタ・ボールミルを使ったフレーク加工の接合特性への評価を継続し、接合設計の指針を明確にする。銀以外の金属フレークの可能性にも注目し、新たなペースト材料とそれに最適化された接合技術を確立する。 3) 銀スパッタ膜による接合技術の科学的な基礎が応力マイグレーションによるものであることが解明されたので、その接合特性制御方法とパッケージングへの応用可能性を探っていく。 4) 完成した極限環境エレクトロマイグレーションその場観察・評価装置をもちいて、Sn,Zn,Ag等様々な接合材料を評価する。同時にFE-SEMの電子顕微技術等の方法で界面構造を観察し、電極および接合界面構造の最適化する。 5) パワー半導体の電極面の配線構造を試作し、極限条件温度サイクル試験を行って評価する。電極と配線の接合断面をFE-SEM,EDAX,EBSDなどで観察・評価し、設計指針を模索する。 6) ウィスカ現象についてはSnについての解明が進んでいるが、従来の研磨やFIB加工による組織観察が限界を迎えたため、イオンミリング・マイクロトームなどの新しい技法を模索する。同時にZnなど他の接合材料についても観察と解析を進める。また分子動力学等の数値計算技術をつかってウィスカ現象の科学的・基礎的な知見を深める。
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