2012 Fiscal Year Annual Research Report
メタボロミクスによる膵β細胞機能制御機構の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
24229007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
清野 進 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80236067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 伯英 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命准教授 (70311610)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2017-03-31
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Keywords | 膵β細胞 / 糖・脂質代謝 / インスリン分泌 / 分化・再生 / 糖尿病 / メタボローム解析 / 代謝シグナル / 病態マーカー |
Research Abstract |
膵β細胞の糖・脂質代謝はβ細胞機能に極めて重要な役割を担っている。しかし、①インスリンの分泌制御、②膵β細胞の分化・再生、③糖尿病の発症や病態において、どのような糖・脂質代謝シグナルがそれらのメカニズムの鍵となっているかは殆ど不明である。本研究では、特性の異なる膵β細胞株、膵島、病態モデル動物やヒトのサンプルを用いて包括的メタボローム解析を行い、上記のメカニズムの鍵となる代謝シグナルを解明する。平成24年度は下記の項目について研究を行った。 1.インスリン分泌における糖・脂質代謝シグナルの同定とその役割の解明:cAMP応答性および非応答性のインスリン分泌特性を有する膵β細胞株間の比較メタボローム解析および代謝シグナルの膵島レベルでの検証を行った。 2.膵β細胞分化・再生における糖・脂質代謝シグナルの同定とその役割の解明:膵β細胞量変化の解析および誘導性Cre/loxPマウスを用いた膵β細胞の増殖、分化、再生の解析を行った。 3.糖・脂質代謝シグナルに由来する新たな糖尿病の病態マーカーと治療標的の同定:糖尿病動物モデルを用いたメタボローム解析およびヒトサンプルの収集を行った。 インスリン分泌に不可欠な新規代謝シグナルの発見だけでなく、これらのシグナルの相互作用の役割が明らかになることが予想され、新しい視点からインスリン分泌制御機構が解明されると同時に新規創薬ターゲットが同定されることが期待される。細胞代謝というこれまで全く考慮されていない点から膵β細胞の分化・再生を理解できる可能性があり、β細胞の質的改善のみならず、β細胞そのものを増やすという糖尿病の新規な再生治療に結びつくことが期待される。血糖やHbA1c以外の全く新しい糖尿病バイオマーカーが同定される可能性があり、糖尿病の発症予防や病態診断のブレイクスルーとなるだけでなく、糖尿病の新たな治療標的となるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3つの研究課題を設定して研究を遂行しているが、いずれの課題においても当初の計画に沿って研究が進展した。さらに、課題1では、平成25年度以降に計画していたインスリン分泌ダイナミクスにおける代謝シグナルの役割の解析についても実施することができた。従って、当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降は新たな代謝シグナルの同定とそのインスリン分泌における役割の解明を細胞、膵島、個体レベルで実施する。 1.インスリン分泌における糖・脂質代謝シグナルの同定とその役割の解明:新規代謝シグナルの同定と細胞、膵島レベルでの検証、インスリン分泌ダイナミクスにおける代謝シグナルの役割の解析、代謝シグナルの遺伝子改変マウスにおける解析を行う。 2.膵β細胞分化・再生における糖・脂質代謝シグナルの同定とその役割の解明:誘導性Cre/loxPマウスを用いた膵β細胞の増殖、分化、再生の解析、膵島のメタボローム解析、膵島の単離と機能解析、膵β細胞の分化・再生への影響の検証を行う。 3.糖・脂質代謝シグナルに由来する新たな糖尿病の病態マーカーと治療標的の同定:動物モデルを用いた解析、ヒトサンプルを用いた解析、糖尿病の病態マーカーおよび治療標的の同定を行う。
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Research Products
(26 results)
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[Journal Article] A novel rat model of type 2 diabetes: the Zucker Fatty Diabetes Mellitus ZFDM rat.2013
Author(s)
Yokoi N., Hoshino, M., Hidaka, S., Yoshida, E., Beppu, M., Hoshikawa, R., Sudo, K., Kawada, A., Takagi, S., Seino, S.
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Journal Title
J Diabetes Res
Volume: Article ID 103731
Pages: 9 pages
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] DPP4 inhibitor vildagliptin preserves beta cell mass through amelioration of ER stress in C/EBPB transgenic mice.2012
Author(s)
Shimizu S, Hosooka T, Matsuda T, Asahara SI, Koyanagi-Kimura M, Kanno A, Bartolome A, Etoh H, Fuchita M, Teruyama K, Takahashi H, Inoue H, Mieda Y, Hashimoto N, Seino S, Kido Y
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Journal Title
J Mol Endocrinol
Volume: 49
Pages: 125-135
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] C-peptide response to glucagon challenge is correlated with improvement of early insulin secretion by liraglutide treatment.2012
Author(s)
Takabe, M., Matsuda, T., Hirota, Y., Hashimoto, N., Nakamura, T., Sakaguchi, K., Ogawa, W., Seino, S
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Journal Title
Diabetes Res Clin Pract
Volume: 98
Pages: e32-35
DOI
Peer Reviewed
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