2013 Fiscal Year Annual Research Report
人間・エージェントの円滑で確実な意思疎通のためのコミュニケーション基盤
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24240023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 豊明 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70135531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 篤志 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (20362593)
大本 義正 京都大学, 情報学研究科, 助教 (90511775)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 会話エージェント / 会話基盤 / 意思疎通 / 状況理解 / 共同意図管理 / インタラクション分析 |
Research Abstract |
理解しようとする姿勢や評価・解釈したことをお互いに提示し合い,一貫性を確認することが,エージェントの意図理解や共同意図の構築に大きな役割を果たしていることを示唆する知見を得た.独立して行動するエージェントの行動モデルおよび空間情報を最初に作成し,それに追加する形で,人間をナビゲーションするガイドエージェントの行動モデルおよび空間情報を作成するという方式の有用性を確認した.NPCのコミュニケーションモデルを構築し,操作可能なコミュニケーション行動を学習することのできる教師なし学習アルゴリズムの開発を行い,評価実験が可能なレベルまでシステム整備と拡張を行った.人間とロボットの共同的タスク遂行,動的指標の協調的伝達の研究に取り組んだ.ロボットの持つ物理的制約を考慮してタスク状況を作り込むと,インタラクションを必要とせずに大部分のタスクが遂行できてしまうことが多いこと,タスク状況の自由度を上げると,観測が難しい人間の内部状態に依存した状況判断が必要になることも確認した.静的な知識空間としてのドメインオントロジーに規定されていない現象を解釈するために学習過程オントロジーを利用することを検討した.タスクオントロジーに基づく対話応答を自動化し,フィラーや直前の発話に関連する話題の提案,社会的シグナルの表出を用いて,オントロジーに規定されていない現象が出現してもインタラクションを維持するエージェントを作成した.構築されたエージェントについて,実際の意思決定タスクにおいて運用し,会話の楽しさ,説明の適切さ,相談相手としての妥当性などに対するアンケートにおいて対照事例よりも高い評価を得ることができる対話を生成することができたことが確認された.ノイズのある状況でのモチーフ発見アルゴリズムの開発,模倣学習における相手行動の写し取り機能の強化を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度未解決であった,エージェントが意図を持って行動していたとしても人間にその意図を理解されにくいという問題,共同意図の構築において相互に行動を調整する適切な手法が明らかでないという問題の2つに対して,人間がエージェントに対する志向姿勢の誘発・維持させる十分条件を示唆する結果が得られ,研究が大きく進展した.人間の行動に基づくエージェント行動デザインツールの開発について,作成したエージェント行動に対するアンケート調査から比較的自然な行動をとっているという評価が得られたという点で十分な前進があった.バーチャルバスケットボールゲームの開発については,評価可能なところまで実装が進み,2件の国際会議発表を行ったという点で研究としてまとまってきた.人間とロボットの共同的タスク遂行について人間とエージェントがインタラクションを通じてタスクを遂行する際の,仮想エージェントと実ロボットの間でタスク遂行の困難性の差異について知見を得ることを目的とした研究によりタスクの自由度がタスク成否に大きく影響することがわかった.動的指標の協調的伝達について,一連の学習過程を行動データとして記録・構造化し,習得の順序関係や習得のハードルとなるポイントと学習過程の依存関係の分析にかかわる予備的な知見が得られた.人間がインタラクションを通じて判断基準や重視要因を変化させ,自身の持つ選好構造を形成しつつ意思決定を行っていることが個人同士の対面インタラクションにおいて重要であることを見出した前年度研究成果をグループにおいても重要であるという研究成果に発展させたものであり,その成果が国際会議で採択された.研究はこれまでに開発してきたモチーフ発見の手法を頑健化するとともに可塑性を持つ新しい模倣学習の枠組みに発展させ,国際会議で発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に沿って発展させていく.さらに複雑なタスク視聴覚シーンの精緻化,新しいタスクへの適用に取り組む.バーチャルバスケットボールについては,実験的評価に進める.共同意図管理については,ストーリー性のある長期的な共通認識と共同意図の構築および蓄積に取り組む.模倣学習については,発達心理学の知見を取り入れた相互適応によるプロトコルの段階的構成に取り組む.平成25年度の予備検討で,インタラクション中の心的状態推定法について,生理指標と行動イベント(人間およびエージェント)の関連性の分析を,単独の指標のみでリアルタイムな推定を行うことは難しいことがわかったので,解決策を検討する.
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Research Products
(10 results)