2014 Fiscal Year Annual Research Report
情動行動制御における扁桃核―前帯状回ループの役割の解明
Project/Area Number |
24240060
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 克樹 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70243110)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 重弘 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (60392354)
|
Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2016-03-31
|
Keywords | サル / 前帯状回 / 扁桃核 / ニューロン / 側頭葉 / 投射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は特に側頭葉領域から前帯状回への神経解剖学的投射様式を詳細に検討した。逆行性神経トレーサーを帯状皮質(24野および25野)に注入し、以下のような特徴を発見した。嗅内皮質および嗅周囲皮質(35野と36野)からは、おもに5層のニューロンが投射していた。35野だけは浅層からの投射も認められた。一方、側頭極皮質および海馬傍回からは、浅層のニューロンも深層のニューロンも投射していた。側頭葉の感覚領域からの投射はほとんど見られなかった。異なる側頭葉領域から異なるパターンの投射を受けていること、より他感覚領域や記憶関連領域と考えられるところからの投射が多いことが示された。一方、扁桃核からの投射を調べると、基底核からの投射が多く認められたのに対し、外側核や中心核からの投射は非常に少なかった。24野と25野の顕著な差は、副基底核からの投射に見られた。副基底核のニューロンは腹側前帯状回(25野)への投射は多く認められたが、背側前帯状回(24野)への投射は非常に少なかった。こうした投射関係の差は、前帯状回内での役割の違いの基盤となっていると考えられる。 生理学的研究では、前帯状回ニューロンの情動刺激に対する応答性を調べ、扁桃核ニューロンとの応答性の差を検討した。これまでに前帯状回にも表情を含む情動刺激に対して選択的な応答を示すニューロンがあることは確認した。こうしたニューロンと扁桃核のニューロンの機能的結合を生理学的に検討していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
投射関係を調べるためのダブルラベリングの技術的手法が確立できずデータをまとめるに至っていない。また、研究を推進してくれていた学生が体調を崩し休養したため、予定より遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
宮地准教授により積極的に参加してもらい、技術的な問題を解決する。また、研究員が記録したデータを解析し、解剖学的データおよび生理学的データをまとめ発表する。
|
Research Products
(3 results)