2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24240061
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
松元 健二 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (50300900)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 動機づけ / 神経科学 / 自己決定感 / 接近/回避 / 価値 |
Research Abstract |
自己決定感の内発的動機づけへの影響の神経基盤を明らかにするため、31名の被験者に、毎試行で呈示される2つの異なるデザインのストップウォッチのうちの一方でストップウォッチを5秒で止める“ストップウォッチ課題”を行って貰った。課題遂行中の脳活動をfMRIによって測定し、使うストップウォッチを自分で選べる自己選択条件と、コンピュータによって選ばれる強制選択条件とで、脳活動を比較したところ、先行研究と一致して、どちらの条件かを示す手がかり刺激提示期に、自己選択条件で有意に高い活動が、帯状回前部、島皮質、線条体、および中脳において見られた。また、成功/失敗の結果が呈示される期間の活動では、失敗に対する前頭前野腹内側部における活動低下が、自己決定感によって消失することが分かった。この結果は、英国の科学雑誌“Cerebral Cortex”に掲載された。もう一つの着目点である「接近/回避フレーム」が内発的動機づけに影響を与える神経基盤を明らかにするため、成功すると得点がアップする「成功接近ブロック」、失敗すると得点がダウンする「失敗回避ブロック」、得点が変化しない「対照ブロック」を用意して、20名の被験者に全ての条件でストップウォッチ課題を行って貰った。さらに、自分のユニークさへの動機も内発的動機づけの一成分であると考えられたため、自分らしいユニークな商品に対する価値づけの神経基盤を明らかにするために、オリジナルのスマホカバーをどれだけ欲しいかを評定する課題を29名の被験者に行って貰い、課題遂行中の脳活動をfMRIによって計測した。その結果、限定商品を評価するときに縁上回の活動が有意に低下し、ユニークさを求める性格傾向が強いほど、この低下の度合いが大きいことが明らかになった。この成果は、国際学会(Neuroscience2013およびNeuroeconomics2013)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
自己決定感による動機づけの亢進とその神経基盤については既に明らかとなり、その成果は学術雑誌に掲載された。接近/回避フレームの影響については、fMRI実験を予定通り終え、現在解析中である。自分のユニークさという内発的動機づけのもう一つの側面についてもfMRI実験を実施し、その成果を国際学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、残る「接近/回避フレーミング効果」の内発的動機づけへの影響の神経基盤について、結果を解析し、論文にまとめ、投稿する。また、自分のユニークさを求める動機づけの神経基盤についても論文にまとめ、投稿する。
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Research Products
(8 results)