2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞機能イメージングを実現する多機能走査型バイオプローブ顕微鏡の開発
Project/Area Number |
24240070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
柴田 隆行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10235575)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 走査型プローブ顕微鏡 / 細胞機能解析 / 細胞操作 / バイオMEMS |
Research Abstract |
生命機能機序の新たな知の創出を支援するキーテクノロジーとして,細胞の機能発現過程における様々な生体機能情報(物理量・化学量)を空間的・時間的に可視化(細胞機能イメージング)する多機能走査型バイオプローブ顕微鏡の開発を目的として実施した.平成24年度に得られた成果は以下のとおりである.(1)マイクロ流路を一体形成したバイオプローブの作製プロセスを確立し,液中での細胞形状計測および細胞膜穿孔が行えることを実証した.(2)電場駆動力を利用した細胞内デリバリー技術を確立するために,生体分子の吐出メカニズムを検討した.溶液中で正に帯電するローダミン6Gの場合には電気浸透流が支配的であり,負に帯電するDNA(塩基長19bp)の場合には電気泳動が支配的であることを明らかにした.また,印加電圧と吐出流量は比例関係にあり,pL/sオーダの極微少量の液体吐出が実現できることを示した.(3)ガラスピペットを用いた基礎実験の結果,適切な印加電圧および極性を制御することで,様々な分子(正電荷:ローダミン6G,負電荷:フルオレセイン,DNA,中性:ローダミン B)の細胞内への導入に成功した.また,細胞膜穿孔時に振動を援用することで,穿刺確率が格段に向上することを見出した.次年度以降に生死判別の評価も含めメカニズムの解明を行い,振動援用の有効性を定量的に実証する.(4)ガラスピペットを用いた基礎実験として,自作の走査型イオンコンダクタンス顕微鏡(SICM)システムによる細胞の形状計測を実施した.また,励振させたピペットを細胞にアプローチする際のイオン電流の変化から細胞の力学的特性が評価できる可能性を見出した.次年度以降に定量的な評価とメカニズムの解明を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本提案技術の最も特徴的な生化学的操作を行うための電場駆動力を利用した細胞内デリバリー技術についての多くの有益な知見が得られた.また,細胞膜穿孔時に振動援用を行うという新たな提案手法の可能性も見出された.さらに,ダメージレス高速形態イメージング(SICM機能)についても細胞の形状計測のみならず,力学的特性評価の可能性を示す知見を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初の研究計画通りに実施するとともに,本提案技術のさらなる高度化を図るために,平成24年度に見出された振動援用による低侵襲細胞穿刺技術ならびにSICM機能を利用した細胞の力学的特性評価手法の確立を新たな研究計画に加える.また,連携研究者の林(大阪大学)と木村(東京医科歯科大学)を研究分担者とすることで,より一層の研究の推進を図る.
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Research Products
(23 results)