2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞組織の機能評価のためのシールドレス超高感度磁気センシングシステムの開発
Project/Area Number |
24240080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内山 剛 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00203555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 晋介 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30192230)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞組織 / 磁気計測 / 不整脈 / がん |
Research Abstract |
細胞組織の機能的な評価法として、細胞内電極やパッチクランプ法が用いられてきた。しかしこれらの方法は細胞組織を損傷するうえに、個人の技能に依存する側面が強い。また蛍光プローブを用いての計測も利用されるが、プローブ挿入による負荷・損傷や細胞組織の性質変化が懸念される。本研究では、細胞組織の集団としての機能を非接触・非侵襲に評価するための超高感度磁気計測基盤技術を確立することを目的とする。そのために名古屋大学においてこれまでに医工連携により研究されている磁気インピーダンスセンサを超高感度化し、細胞計測に必要なpTレベルの磁界検出分解能を電磁シールドなしで実現することを目標としている。 本年度は、センサ信号処理回路を改良し、グラジオセンサによる微小磁界計測技術を確立した。そのために、グラジオセンサ用高精度磁気センサヘッドの製作も行った。また、細胞組織の電気的活動と磁気活動の関係を調べる同時計測により、すなわち電気的活動を伴う細胞組織に関する磁気計測により試作機の評価実験を行った。モルモットから摘出した自発的な電気活動を行う消化管筋層標本(胃、空腸-回腸)を主に用いて、組織依存性のある活動電位発生に伴う磁気信号の検出に成功した。磁気計測と電気活動計測の相関について再現性のある結果が得られたため、細胞組織の機能計測装置として試作磁気センサシステムの有用性を確認した。 今後は、信号処理電子回路およびセンサヘッドの最適化を行い、現在研究されている培養組織である心筋シートや皮膚、角膜などの医療レベルで使用が可能な培養組織について、その組織の電気活動に伴う磁気信号が試作センサシステムにより検知可能かどうか調べる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
センサ信号処理回路を改良および、グラジオセンサ用高精度磁気センサヘッドの製作によりシールドレスの実験室環境で、pTレベル磁界を計測できるグラジオセンサ技術を確立した。モルモットから摘出した自発的な電気活動を行う消化管筋層標本(胃、空腸-回腸)を主に用いた評価実験により、組織依存性のある活動電位発生に伴う磁気信号の検出に成功した。磁気計測と電気活動計測の相関について再現性のある結果が得られているため、細胞組織の機能計測装置として磁気インピーダンス素子による超高感度磁気センサシステムの有用性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、信号処理電子回路およびセンサヘッドの最適化を行い、現在研究されている培養組織である心筋シートや皮膚、角膜などの医療レベルで使用が可能な培養組織について、その電気活動に伴う磁気信号が磁気インピーダンス素子による、試作磁気センサシステムにより検知可能かどうか調べる計画である。また、これまで品質検査方法が確立されていない、電気的な活動を伴う細胞組織について、磁気計測による、品質評価方法を検討する。従来の検査方法では、非侵襲・無菌走査が必要なため目視検査により細胞の増殖程度を観察することにより、癌細胞の有無などを推定する。しかし、この方法では、組織の連続的な電気活動を評価することが出来ない。本課題では、試作センサシステムを用いた培養細胞計測の結果から、活動電位を起源とする磁気活動により培養組織に対し完全非接触で不整脈の有無を調べたり、培養組織に内在する癌細胞を見つけることができるかどうかについて研究を実施する。
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