2013 Fiscal Year Annual Research Report
マルチチャンネル機器を利用した高速遺跡探査技術の開発
Project/Area Number |
24240111
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
金田 明大 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究員 (20290934)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2017-03-31
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Keywords | 考古学 / 文化財科学 / 遺跡探査 |
Research Abstract |
今年度は以下の研究をおこなった。 1)アレイ式地中レーダーの試験及び遺跡の特性に応じた走査方法の検討 昨年より導入を進めたアレイ式地中レーダーの動作テストをおこない、平城宮跡にてテストをおこなった。位置精度の向上のためにGPSとの連携を確立することができた。続いて日本の遺跡の特性に合わせた条件での試験をおこなうため、樹幹下の起伏がある場所での探査を東大寺西塔院にておこなった。結果としてRTK-GPSがFIXしない状況での探査ができない状況であり、他の位置計測方法による測位が必要であることが確認できた。また、日本の遺跡探査ではそりによるレーダーアンテナの牽引が有効であり、その設計をおこなった。 2)多プローブ磁力計による磁気探査 計測プローブを複数配した磁力計を導入し、動作試験をおこなった。磁気探査は樹幹下での利用が多く、GPSでの計測が難しい状況であることから、疑似NMEA出力を利用した位置計測の方法を平城宮跡でおこなった。 3)急傾斜地における探査手法の検討 窯跡や古墳など急傾斜などの地形に立地する対象物を迅速に探査する手法を考えるため、従来の測線設定による計測ではなく、不規則三角形網(TIN)を活用した計測を岐阜県大萱窯跡群、千葉県龍角寺にて試行し、成果と問題点の抽出をおこなった。 4)比較手段の検討 地中レーダーと多プローブ磁力計の成果の検討をおこなう上で、物性を把握できる手法との成果の比較をおこなうための方法を検討した。比較手段としても迅速な方法を模索し、電磁探査法による探査を導入して検討をおこなうこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度途中からの採択・交付であったことや、電波法による機器の選択の難航により遅れていた申請時の計画については、今年度の作業で大きく取り戻すことができた。予定に比して現地での試験の実施がやや少ない件数に留まった感があるが、次年度以降増加する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)測位方法の検討 日本の遺跡探査において課題となる測位方法の活用について、本年度の試験で大きな課題であることを再認識した。現在、複数の方法を柔軟に利用できる汎用性の高い手段を検討しており、次年度以降その確立に力を傾注する予定である。 2)実地試験 計測試験においてはその有効性を確認できたが、実際の遺跡での利用を進め、更に課題を抽出し、改良をおこなう。 3)成果の比較 有効性や既存の手法との差異を検討するため、電磁探査をはじめ、非マルチチャンネルの機器の成果との比較をおこなう。 4)ワークフローの確立 実地でのテストを元に、実際の機器を用いてより迅速かつ詳細なデータを取得するためのワークフローの確立を進める。
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