2013 Fiscal Year Annual Research Report
がんの幹細胞特性を支える栄養シグナル制御機構の解明
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24240119
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平尾 敦 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (90343350)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 栄養シグナル |
Research Abstract |
本課題では、栄養シグナルによる細胞分化制御という観点から、がんの成り立ちや悪性進展メカニズムを理解することを目標に研究を進めた。本年度は、K-ras活性化による白血病モデルにおいて、mTOR複合体1(mTORC1)の役割を解析した。造血組織においてRaptor 欠損を誘導すると、胸腺中の初期T細胞分化の異常、細胞周期停止が認められた。同一個体の骨髄細胞では、顕著な異常は認められなかったため、mTORC1は、比較的T細胞分化特異的に機能していると考えられた。mTORC2コンポーネント分子であるRictor欠損マウスを用いて解析を行ったところ、mTORC1よりもやや後期でのT細胞分化異常が認められ、ふたつのmTOR複合体がそれぞれ異なる役割を果たしながら、T細胞分化を支えていると考えられた。次に、活性化型Krasによる白血病モデルにてRaptor欠損の影響を評価したところ、mTORC1はT細胞性白血病細胞の発生に極めて重要であることが判明した。一方、K-ras活性化・Raptor欠損状態のマウスの多くでは、骨髄球系細胞が優位となり、骨髄球系腫瘍像を呈しており、骨髄球系腫瘍においては必ずしもmTORC1は必須ではないことが示唆された。この結果は、急性骨髄性白血病におけるmTORC1の失活が、白血病幹細胞の生存に影響しないことと一致するものと考えられた。リンパ球においても、正常組織および腫瘍の双方において、mTORシグナルと分化プログラムの間の関連性が保たれていることが推察された。以上の結果は、がん動態と細胞分化の接点を理解する上で貴重な知見となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り研究を遂行し、重要な知見を見出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、脳腫瘍代謝での腫瘍発生起点および悪性進展における病態制御様式の解析を行い、異なる組織・病態における栄養シグナルの役割を明らかにする予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Loss of mTORC1 induces developmental blockage in early T-lymphopoiesis and eradicates T-cell acute lymphoblastic leukemia cells.2014
Author(s)
Hoshii T, Kasada A, Hatakeyama T, Ohtani M, Tadokoro Y, Naka K, Ikenoue T, Ikawa T, Kawamoto H, Fehling HJ, Araki K, Yamamura K, Matsuda S, Hirao A.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A.
Volume: 111
Pages: 3805-10
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Abundant nucleostemin expression supports the undifferentiated properties of germ cell tumors.2013
Author(s)
Uema N, Ooshio T, Harada K, Naito M, Naka K, Hoshii T, Tadokoro Y, Ohta K, Ali, A.E. M, Katano M, Soga T, Nakanuma Y, Okuda A, Hirao A.
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Journal Title
Am J Pathol.
Volume: 183
Pages: 592-603
DOI
Peer Reviewed
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