2012 Fiscal Year Annual Research Report
錯体水素化物における原子・イオン輸送機構の解明ー中性子散乱と陽電子消滅の相補利用
Project/Area Number |
24241034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
大友 季哉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (90270397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊 浩司 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 研究員 (20392615)
中村 優美子 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, グループ長 (50357670)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水素貯蔵材料 / 中性子回折 / 陽電子消滅 |
Research Abstract |
NaAlH4は単体では溶融しないと水素放出反応が進行しないが,数mol %のTi触媒を添加すると固体状態で水素の吸蔵放出反応が可逆的に進行することが知られている。この反応には物質内の構造の乱れやイオンの拡散が関係していると考えられ,いくつかのモデルが提唱されているが,反応機構は未だ解明されていない。そこで,空孔の生成・拡散が上述の反応に関与しているというモデルに基づいた解析を行うことを目的とし,NaAlD4水素吸蔵放出反応のin-situ中性子回折測定を開始した。 重水素試料による精度の高い構造解析を行うため,まずAlD3とNaDを合成し,これらの物質量比1:1混合粉末をミリング処理することでNaAlD4を合成した。さらに触媒として, 6 mol %のTiCl3をミリング処理により添加した.温度を393 Kに保持した状態で重水素圧力を0~10 MPaの範囲で変化させながら高強度全散乱装置NOVA (J-PARC)において中性子回折を測定した。 測定結果より,NaAlD4の合成に成功したことをリートベルト解析により確認した。添加されたTiは、Alと置換していることが示唆される結果が得られている。また,in-situ測定により水素吸蔵放出反応に伴うNaAlD4からNa3AlD6さらにNaDへの可逆的な相変化を初めて観測できた。水素吸蔵放出反応に伴う構造変化についてリートベルト解析・二体相関関数解析を進めている。 また、同試料の陽電子消滅測定の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最も重要な試料合成に成功し、中性子回折データによる構造解析により、Tiのサイトについて情報が得られたこと、そしてin-situ中性子回折実験を開始できたことは初年度しては概ね順調であったと言える。平成25年度には、試料合成を工夫し、より不純物相の少ない試料を合成できる目処がたっており、この試料を用いた実験を行うことで、精度の高い構造解析ができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
水素放出過程のin-situ測定により、NaAlD4中におけるAl原子周辺の構造、とくに水素配位数の変化等を観測し、空孔生成について構造解析を実施する。陽電子消滅による空孔周辺構造の観測を行うとともに、放射光によるAl原子周辺構造の観測も行い、より精度の高い水素放出メカニズムモデルの構築を目指す。
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Research Products
(2 results)