2013 Fiscal Year Annual Research Report
炭素単原子層のエッジ原子配列制御とスピン物性、磁石応用
Project/Area Number |
24241046
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
春山 純志 青山学院大学, 理工学部, 准教授 (70296383)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グラフェン / 平坦バンド強磁性 / ナノメッシュ / エッジ原子配列 / 終端 / 希少元素フリー磁石 |
Outline of Annual Research Achievements |
希少磁性元素を用いずに環境に優しい高効率磁石・スピントロニクス素子を作成するために、グラファイトの機械剥離で作成したグラフェンに、リソグラフィを用いずに、多孔質アルミナ膜をマスクとしてアルゴンガスで低ダメージエッチングし、六角形ナノ細孔の蜂の巣状アレイを形成した(グラフェンナノメッシュ)。高温熱処理で細孔エッジの原子配列をzigzag型にしそれを水素終端することで、平坦バンド強磁性を発現させた。 まずこの強磁性の効率を上げるために、水素終端方法を改善した。これまで水素ガス雰囲気での熱処理で細孔エッジを水素終端していたが、水素原子を含む電子線用の特殊レジストをグラフェンナノメッシュ上に塗布し、これに電子線照射し現像することで水素原子のみをナノメッシュ上に残し、細孔エッジを水素終端した。これにより従来を100倍近く上回る高効率グラフェン磁石を創製出来た。この理由として、zigzagエッジの各ダングリングボンドを1個の水素原子で終端出来たことが考えられる。理論上、2個の水素原子での終端よりも1個の終端時に平坦バンド強磁性は強くなるとされるが、以前の水素ガス雰囲気での熱処理では2個の水素原子(H2)での終端になっていた。それに対し、この特殊レジストでは水素原子1個づつがグラフェン上に残りC-Hボンドを形成するため、強い強磁性が出現したと思われる。 今後はこの高効率グラフェン磁石を用いて、スピントロニクス素子の基盤技術開発を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実績概要でも述べたように、グラフェンナノメッシュの細孔エッジの水素終端方法を改善することで、従来の100倍近く大きい強磁性を達成することが出来た。従来H2ガス雰囲気中での熱処理で細孔エッジを水素終端していたが、それでは一個のエッジダングリングボンドを2個の水素原子で終端してしまい、十分な平坦バンド強磁性を発現させられなかった。それに対して水素原子を含む電子線(EB)微細加工用の特殊レジスト(HSQレジスト)をグラフェンナノメッシュ上に塗布しEB照射することで、水素原子のみをグラフェン上に残しC-Hボンドを形成出来た。細孔エッジではこれは1個の水素原子によるダングリングボンド終端に帰着し、上記高磁化を達成できた。これは当初の予定より格段の進歩であり、今後の展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこの特殊レジストを用いる方法をさらに最適化し、さらなる高効率磁石を目指す。また、このグラフェン磁石を用いて希少元素フリーのスピントロニクス素子を開発する。まずは、これを電極としたトンネル磁気抵抗素子の開発を行う。
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Research Products
(14 results)