2012 Fiscal Year Annual Research Report
がんエピゲノム解析のためのDNAメチル化ゲノムワイド1分子マッピングデバイス
Project/Area Number |
24241050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
馬場 嘉信 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30183916)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノバイオ / エピジェネティクス / DNA / メチル化 |
Research Abstract |
平成24年度は、代表的ながんエピゲノム変化であるDNAメチル化を1 分子レベルでゲノム全体を解析できるデバイスを開発することを目的とし、(1)単一ヒト細胞からの染色体ゲノムDNA抽出デバイスの開発、及び(2) ナノ空間における1 分子ゲノムDNA伸張デバイス開発を行った。 単一ヒト細胞からの染色体ゲノムDNAの抽出デバイス開発の研究項目では、DNA分離用に開発したナノピラー構造を、染色体DNA抽出のために最適化することで達成することを目的とした。この際には、ピラー直径、ピラー間隔、ピラーの幾何学的配置が染色体の抽出に及ぼす影響について検討を行った。染色体DNA抽出としては、細胞膜等の溶解溶液を用いた化学的処理と送液や電場印加等による物理的処理の2つより行った。染色体抽出用ナノピラーに細胞を流し、送液や電場により高制御能を持って1分子染色体DNAを抽出に成功した。この際、1分子染色体DNAを切断すること無く取り出すために、電場強度や送液速度を検討し、染色体DNA抽出に最適な条件を検討した。 ナノ空間における1分子ゲノムDNA伸張デバイス開発の研究項目では、ヒト染色体DNAを小型デバイス内で完全に伸張させることを目的とした。高さ100 nm, 幅100 nm程度のナノチャネルを作製し、数百万塩基(長さ約340μm)あるヒト染色体を完全伸張させることが可能であるデバイスを開発した。1分子ゲノムDNA は、ナノデバイスへの外部電場の制御により数分で高精度に伸張を達成した。ナノチャネル入り口での詰まり等により完全伸張が困難であったため、ナノチャネルの前にナノピラーを配置し、凝集構造をもつ数百万塩基DNAを完全にほどいた後にナノチャネルに導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現行法のDNA抽出法では、細胞膜破砕液を用いた化学的処理等による煩雑な操作が必要であったが、平成24年度に我々の開発した手法では、細胞をナノピラー等の構造体に送液することによって細胞よりDNAを抽出することに成功した。本手法では、細胞を送液するだけでDNAを抽出することができるため、煩雑な操作は不要であり、細胞破砕液によるDNAの損傷の問題もない。このように簡便かつ、短時間でDNA抽出を達成可能な手法の開発に成功し、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1 分子ゲノムDNA 伸張デバイスの高集積化を継続して進めるとともに、メチル化部位の超高感度検出を行うための新規ナノ材料開発と全体のデバイス化を進める。メチル化超高感度検出新規ナノ材料開発では、新規量子ドット材料を開発し、bisulfite反応不要・PCR不要で数万塩基DNA中5か所のメチル化を1分子検出できる新規ナノ材料を開発する。新規ナノ材料の創出には結合定数が大きいビオチンーアビジン結合を用いる。ヒトゲノムDNAをナノデバイスで完全に伸張させた後、メチル化部位を超高感度検出するためにこの新規ナノ材料を用い、1 分子ゲノムDNA 上のメチル化部位の同定・検出を行う。メチル化検出は5~10分で達成する予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Book] 現代化学2013
Author(s)
馬場嘉信
Total Pages
21-56
Publisher
早期がん診断の研究最前線 がんの兆候をとらえる
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