2013 Fiscal Year Annual Research Report
がんエピゲノム解析のためのDNAメチル化ゲノムワイド1分子マッピングデバイス
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24241050
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
馬場 嘉信 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30183916)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノバイオ / エピジェネティクス / DNA / メチル化 |
Research Abstract |
平成25年度は、1 分子ゲノムDNA 伸張デバイスの高集積化を継続して進めるとともに、メチル化部位の超高感度検出を行うための新規ナノ材料開発と全体のデバイス化を進めた。メチル化超高感度検出新規ナノ材料開発では、新規量子ドット材料を開発し、bisulfite 反応・PCR 不要で数万塩基DNA 中5 か所のメチル化を1 分子検出できる新規ナノ材料を開発した。これまでに申請者が得た予備研究成果(Micro Total Analysis Systems, 2011, 299)では、解像度が低く、メチル化部位への結合特異性が低いという課題を有していたが、これら欠点を克服するために、本年度はメチル化部位認識能の高い分子と量子ドットを結合させた新規ナノ材料を開発した。新規ナノ材料の創出の際、メチル化部位認識能の高い分子と量子ドットの結合には結合定数が大きいビオチンーアビジン結合を用いた。ヒトゲノムDNA/数万塩基DNAを完全伸張させることが可能なナノデバイスと、メチル化部位を超高感度検出することが可能な新規ナノ材料を用い、1 分子DNA 上のメチル化部位の同定・検出を行った。この際には、新規ナノ材料のメチル化部位への結合条件と、超高解像顕微鏡に最適なナノ材料を検討課題とし、迅速かつ高解像度・超高感度検出を目指した。さらに、本手法と同時に、1 本鎖DNA メチル化シトシンに直接結合するリガンドプローブを用い、リガンドプローブを介して、メチル化部位の標識化を行い、超高感度検出のための実験条件の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に我々の開発した手法では、従来法でメチル化検出に必要不可欠であった前処理(bisulfite反応・PCR)を必要とせず、2本鎖DNAにメチル化部位超高感度検出ナノ材料を導入するだけで、ナノデバイス中にて伸張したDNA上のメチル化部位を検出することに成功した。現行のDNAメチル化部位検出法では、バイサルファイト処理を行う検出やDNAを1本鎖化した後に検出する等、メチル化部位検出のための前処理が必要であった。しかし、平成25年度に開発したメチル化部位超高感度検出ナノ材料は、そのナノ材料を2本鎖DNAと反応させることによってDNA上のメチル化部位を量子ドットにより標識化することが可能である。ナノ材料とメチル化部位を有するDNAを反応させた後、そのDNAをナノ空間へ導入することで、DNA上のメチル化部位を簡便かつ短時間で検出することに成功した。また、数万-数百万塩基対を持つDNA上のメチル化部位を1分子DNAより検出することにも成功しており、当初の計画以上に進展していると考えられる。また、昨年度に引き続いて1 分子ゲノムDNA 伸張デバイスのナノ流路デザインを設計し、1分子ゲノムDNAを伸張するのに適したナノ空間を有するデバイスの試作を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1分子ゲノムDNAを伸張させるため、1 分子ゲノムDNA 伸張デバイスにおけるナノ流路/空間デザインのさらなる最適化/高集積化を継続して進めるとともに、メチル化部位の超高感度検出を行うためのナノ材料のさらなる改良を進める。同時に、ナノ材料と結合させたメチル化ゲノムDNAをナノデバイスへ導入し、1分子ゲノムDNA上のメチル化部位超高感度検出に取り組む。また、これまでに研究開発してきた要素技術の中で、各機能が最も高い性能を発揮でき、かつ最も高感度検出が達成できるナノデバイスの設計と試作も開始する。ナノデバイスの設計と試作では、昨年度までに申請者らが確立した「ナノ空間中での1分子DNA挙動予測」の理論に基づき、50 nm程度のナノ空間の作製に取り組む。さらに、ヒト染色体DNAを小型デバイスで完全に伸張させるため、高さ50 nm、幅50 nmのナノチャネルを顕微鏡1視野である50x50 um2の領域内部に500ターンさせたデバイスの作製を同時に行う予定である。最終的には、50x50 um2を1区画とした領域の40区画(顕微鏡40視野分)への高集積化を行い、30億塩基(長さ約1 m)あるヒト染色体を完全伸張させることが可能なデバイスの開発に取り組む。
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Research Products
(8 results)