2013 Fiscal Year Annual Research Report
鳥・航空機および鳥・鳥無線通信による鳥インフルエンザモニタ網の基礎研究
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24241058
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中島 功 東海大学, 医学部, 教授 (00183509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 清 政策研究大学院大学, 政策研究科, アカデミックフェロー (30167390)
木ノ上 高章 東海大学, 医学部, 准教授 (30234313)
尾崎 清明 公益財団法人山階鳥類研究所, 保全室, 副所長 (40106729)
猪口 貞樹 東海大学, 医学部, 教授 (60160008)
片山 正昭 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (60185816)
桑平 一郎 東海大学, 医学部, 教授 (60186567)
秦 順一 常磐大学, 人間科学部, 教授 (90051614)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2015-03-31
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Keywords | 危機管理 |
Research Abstract |
低病原性鳥インフルエンザウイルスのキャリアである水禽が繁殖するシベリアでは、中継無線網や基幹回線が無いので、渡りのルートは高度840km低軌道衛星 NOAAのARGOSでデータを得るが、高額な通信費と高い消費電力を要したので、本研究は鳥個体間のネットワークトポロジー情報を管理データを把握し、鳥に搭載したパケット無線通信端末を相互に通信させ、ファィル交換により鳥鳥通信を確立し、冬に帰還したときに一括してデータを確保するためのシステム開発を行った。 これと平行して航空機はADS-B信号を1GHz帯で発信しており、鳥から航空機に対して同報通信で個体識別番号、位置、トポロジカルデータを自動的に相互に交換し、鳥の位置を継続的にモニタするためのプログラム開発を施行し、超小型のデーターロガーを鳥に搭載し、加速度計より得られる呼吸数、心拍数、羽ばたき回数などを記録し、蓄積する装置を開発し、これを日本産キジに装着させ、検証実験を行った。 航空機との通信(双方向の同報通信)を目指し、窓用受信アンテナ(フェーズドアレーパッチアンテナ)の開発と検証実験、さらに航空機の飛来を鳥側の端末が感知するため航空機が発振するADS-Bビーコンを鳥に搭載する端末で解読するプログラムを開発した。 鳥鳥通信の技術開発として、端末間のネットワークトポロジー管理 鳥のネットワークトポロジーの各端末での把握を行うC++言語でのプログラムの開発を行った。政策的展望として、現在の鳥インフルエンザ感染地域の疫学的伝播と鳥類の動向を現地視察やインターネット上で調査し、国際機関における鳥インフルエンザの統括的な情報交換、危機管理としての政策を指南した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニワトリの歩行実験、キジの飛翔実験は開発した超小型のデータロガーに角速度計を搭載したもので、角速度のデータによる生体情報の推定は良好な結果を得ている。二軸、もしくは三軸角加速度計データを高速フーリエ変換、および周波数フィルタで複数の信号の中からターゲット信号を取り出し、逆変換することにより歩行、羽ばたきなどの動作、呼吸数、心拍数、シバリングなどの生体情報を推定できることを確認した。この技術開発の新規性に関して特許出願を提出した。窓用受信アンテナはフェーズドアレーパッチアンテナであり、位相を変えてビームをスキャンしている。すでに10m電波暗室にてビームパタン、利得などを計測している。ただ位相検出装置と位相シフターの電力消費が大きく、移動体端末として航空機に搭載する場合は、さらなる工夫を要する。ADS-B は、振幅変調であるOOK、航空機から秒6.1回の割合で送信され、その信号を鳥に搭載した超小型受信機で再生できれば航空機の飛来が把握できる。航空機のパケット信号は、実行速度が1Mbpsと高速で、同期を取るためのプリアンブル信号が4ビットときわめて短く、鳥に付けた小型アンテナではすべてのパケット フレームを再生し、符号化することは容易ではないが、航空機が巡航高度ならば半径20km以内に入れば、誤り無しでパケット信号を復調可能である。航空機との位置相関は、振幅と周波数シフトの直行するニ変数からそれぞれ求められるが、その精度はGPSほど高くない。少なくとも当初の目的である20km以内に飛来して来たかどうかは把握できるので、航空機に向かって同報通信で鳥側のデータを送り続ければ、航空機側で鳥の位置やデータを回収できる。H5N1やH7N9などの疫学的伝播と鳥類の動向を現地視察やインターネット上で調査し、国際機関における鳥インフルエンザの統括的な情報交換、危機管理としての政策を取りまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
超小型のデーターロガー 鳥に搭載した角加速度計から得られるデータを記録蓄積する装置を軽量化し、さらに日本産キジの飛翔中の気嚢圧を計測する検証実験を行う。航空機窓用受信アンテナの検証実験は、フェーズドアレーパッチアンテナをセスナに取り付け、検証実験を継続して行う。ADS-Bの検証実験の継続として、航空機からのビーコン波に類似した試作送信機、試作受信機の誤り訂正と信号強度の評価実験等をセスナ機を用いて行う。 鳥鳥通信の開発 ネットワークトポロジー管理として鳥のネットワークトポロジーは経時的に変化するので、毎日、決められた時間に各端末が相互に通信し合い同期を取り、ネットワーク管理のプログラムを試作し、最適路を得るためにダイクストラ法を用い正方行列の受信電力を端末間の距離の逆数として扱うプログラムの検証実験を継続して行う。ファィル管理プログラムは、鳥に搭載した各端末は一日に一つのファィルを作成し、記録する内容は、出会った局、GPSデータ、加速度計データやバッテリー電圧などで、ファィル名は、識別符号、年月日で不揮発メモリーに記録する。 各局は自局の管理するファィル名のリストを交換することにより、自局の持っていないファィルを請求するファィル管理プログラムの検証実験を継続して行う。 鳥標識の調査 渡り鳥、ことにハクチョウへのデーターロガーを搭載する標識作業を北海道、青森で2回に分けて行い、モンゴルにあるH5N1発症の地である塩の湖にて現地調査、およびADS-Bの受信電力を計測し、データを持ち帰り、ADS-Bによる測位を確立し、鳥インフルエンザ感染地域の疫学的伝播と鳥類の動向を実験協力者と意見交換し、専門家を交えた会議を開催する。 新たな知的財産を当該機関に申願し、研究成果を海外の学会、雑誌に発表する。
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