2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内シグナル伝達機構における時間情報コードのシステム生物学
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24241067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒田 真也 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50273850)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / モデル化 / 糖代謝 / グリコーゲン / インスリン |
Research Abstract |
シグナル伝達機構の本質は、多彩な入力の情報を限られた種類の分子にコードすることにある。申請者らはERK経路や、Akt経路(藤田ら、Sci. Signal.,2010)の研究において、分子活性の時間パターンに入力情報がコードされる時間情報コードを世界に先駆け見出している。さらに現在、インスリン経路が時間情報を多重にコードすることや、時間情報コードが感受性を制御することを見出している(豊島ら、Nat. Commun., 2012)。 本研究では、以上の研究を発展させ、細胞内シグナリングの時間情報コードを解明してその生理学的な意義を明らかにするとともに、時間情報コードが様々なシグナル伝達に見られる一般的な特性であることを明らかにすることを目的とした。申請者らはラットの肝臓がん由来のFao細胞において、インスリンの3つの異なる時間パターンがpAktに多重にコードされ、下流の3つのシグナル分子(pS6K,pGSK3β, G6Pase)がそれぞれ選択的にデコードすることを見出した。 本年度は、シグナル分子の下流にある糖代謝やタンパク質合成などの代謝制御に時間情報コードが使われているかどうかを検討した。そこで、インスリンのさまざまな時間パターンを細胞に与えて、時間情報コードにより最終的な生理機能であるタンパク質合成やグリコーゲン合成、糖新生抑制といった代謝物質を計測した。このデータをもとにインスリンによる代謝制御調節ネットワークの微分方程式モデルの作成を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、当初インスリンのさまざまな時間パターンに対する応答を詳細に計測するまでを目的としていたが、数理モデルの開発着手まで行うことができ、計画を当初の予定より早く進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作成を開始したインスリンによる代謝制御調節ネットワークの微分方程式モデルを解析して、インスリンによる代謝調節の時間情報コードのメカニズムを明らかにする。特にモデルから予測されるグリコーゲン合成、解糖系、糖新生系に関する代謝物質を計測してモデルの整合性を確かめるとともに、モデルの構造を解析してインスリンの時間パターンによる代謝制御のホメオスタシスの仕組みを明らかにする。 さらに、時間情報コードがFao細胞におけるインスリン経路などに限らない一般的な特性であることを明らかにするために、インスリンの標的臓器である骨格筋に類似した特性を示すC2C12細胞を用いても上記と同様の解析を進める。本年度は、C2C12細胞を骨格筋に分化させ、シグナル伝達分子や代謝物質が安定に計測できる系の開発を行う。
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Research Products
(6 results)