2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24241074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 義一 東京大学, 医科学研究所, 名誉教授 (40114590)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2016-03-31
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Keywords | SELEX / RNAアプタマー / 核酸医薬 / 疾患標的タンパク質 / アンタゴニスト / アゴニスト / RNA造形力 / 構造生物学 |
Research Abstract |
本研究は、RNAの造形力を利用した医薬品探索を目的としたもので、SELEX(人工進化)技術を用いて各種の創薬標的タンパク質に結合するRNA分子(アプタマーという)を創成し、1)サイトカイン阻害薬(アンタゴニスト)の開発、2)受容体作動薬(アゴニスト)の開発、3)細胞内送達(DDS)技術の開発、4)RNA造形力に関する構造生物学的研究、を実施した。平成24年度の研究成果の概要は次の通りである。 1)各種の創薬標的に対するアプタマー医薬の開発は順調に進捗した。特筆すべきは、抗NGFアプタマーが動物実験でモルヒネと同等な鎮痛効果を示し、開発候補品の最終加工も完了して、ラット・サルを用いた予備毒性試験を完了した。同様に、抗IL-17Aアプタマーも開発候補品の最終加工が完了し、各種の疾患モデルマウスで薬効確認を進めた。また、抗FGF2アプタマーがGPI誘導関節炎の発症を有為に抑制することを確認した。 2)FGF2受容体に対するアプタマーを創製し、FGF2シグナルによるErkのリン酸化を代替できるかどうかをin vitro細胞試験でスクリーニングした。その結果、複数の独立クローンがFGF2非存在下で弱いErkリン酸化を惹起することを確認した。 3)抗ヌクレオリン・アプタマーは癌細胞表面に提示されるヌクレオリンに結合して細胞内にinternalizeし、核内に到達して抗癌剤として作用することが報告されている。抗ヌクレオリン・アプタマーを細胞内DDSツールとして改良あるいは新規創製する目的で、既存の抗ヌクレオリン・アプタマーのDDS性能についてはシステマチックな解析を実施した。 4)ヒト転写因子AML1に対するアプタマーのNMR解析の結果、アプタマーRNAが通常のA型へリックスを変形してDNAのB型ヘリックス構造をmimicしていることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最重要な目的は、アプタマー医薬品の開発を推進することであり、その視点で、複数のアンタゴニスト・アプタマーが動物で優れた薬効が確認され、予備毒性試験にまで進捗したことは、アプタマー医薬の実現に確実に近づきつつあると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要の冒頭で記述したように、本研究はRNAの造形力を利用した医薬品探索を目的としたもので、1)サイトカイン阻害薬(アンタゴニスト)の開発、2)受容体作動薬(アゴニスト)の開発、3)細胞内送達(DDS)技術の開発、4)RNA造形力に関する構造生物学的研究、の4項目がサブテーマで、その基本方針に変更はない。本研究はRNAに関する基礎研究と実用化という2輪をバランスよく駆動することが重要だと認識しており、その意味で、項目4)に関する研究をさらに充実させる予定である。
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[Journal Article] The Runt domain of AML1 (RUNX1) binds a sequence-conserved RNA motif that mimics a DNA element2013
Author(s)
Fukunaga, J., Nomura, Y., Tanaka, Y., Tanaka, T., Nakamura, Y., Kawai, G., Sakamoto, T., Kozu, T.
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Journal Title
RNA
Volume: 19
Pages: 927-936
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Midkine promotes neuroblastoma through Notch2 signaling2013
Author(s)
Kishida, S., Ping, M., Miyakawa, S., Fujiwara, M., Abe, T., Sakamoto, K., Onishi, A., Nakamura, Y., Kadomatsu, K.
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Journal Title
Cancer Res.
Volume: 73
Pages: 1318-1327
DOI
Peer Reviewed
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