2012 Fiscal Year Annual Research Report
知のエコロジカル・ターン:人間的環境回復のための生態学的現象学
Project/Area Number |
24242001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
河野 哲也 立教大学, 文学部, 教授 (60384715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 純一 立正大学, 文学部, 教授 (40134407)
佐々木 正人 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10134248)
桑子 敏雄 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (30134422)
川内 美彦 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (30527932)
岡田 美智男 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50374096)
直江 清隆 東北大学, 文学研究科, 准教授 (30312169)
長滝 祥司 中京大学, 国際教養学部, 教授 (40288436)
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (90325895)
森 直久 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (30305883)
萱野 稔人 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (20422371)
三嶋 博之 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (90288051)
染谷 昌義 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (60422367)
柳澤 田実 南山大学, 人文学部, 准教授 (20407620)
熊谷 晋一郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任講師 (00574659)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 現象学 / 生態心理学 / ギブソン / 身体 / 科学技術 / 倫理 / 環境問題 |
Research Abstract |
本研究は、生態学的現象学を理論的中核として、それを人間環境についての総合科学へと発展させることを目的とする。本年度は、三つの分担部門(身体、技術、倫理)に分かれて研究を遂行させ、同時に以下のような共同研究の成果を上げた。 (1)アンソロジー『知のエコロジカル・ターン』(3巻、編者:村田、佐々木、河野、染谷、東京大学出版会)出版準備:9月初頭から10月初頭まで5回の集中研究会を行い、相互に提出原稿を検討した。3月末には基本原稿は出そろい、2013年6~8月に出版予定。(2)海外研究者招聘:M-B エーマン氏(ウプサラ大学)を招聘、5月~6月にかけて、フェミニズム科学技術論について3回の講義、4回の講演を行った。H.ヘフト氏(デニソン大学)を招聘し、ギブソン心理学の哲学的基礎についての公開講演会2回を行った。(3)海外研究機関との連携シンポジウム:2013年3月にウプサラ大学ジェンダー研究所で、ジェンダーと身体性、科学技術をテーマとしたシンポジウムを行った。同研究所のエーマン氏と河野、研究協力者の稲原、齋藤、宮原に加え、池田喬(明治大学)、筒井晴香(立教PD)が外部参加し、4日にわたるシンポジウムを実施し、情報交換を行って連携関係を深めた。(4)国内学会・研究会: 2012年9月11日には、話題提供者として大野隆造氏(東工大学)、鈴木毅氏(大阪大)を招聘し、日本心理学会第76回ラウンドテーブル「建築と居住空間の生態心理学」を実施した。3月には研究協力者の大谷が神経科学と拡張した心論の例会報告をした。(5)フィールド調査:桑子は佐渡島でトキ保護など生態系改善活動を長年行っており、河野も参加して今後の本研究の方向性を探った。川内は東日本大震災の仮設住宅に関する調査を行った。(6)ホームページ作成:http://ep.human.waseda.ac.jp/groups/ecoex/
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初どおりの計画をすべて実行することができ、5年間の研究の初年度として順調なスタートを切ることができた。 共同作業としての本年度の最大の課題は、東京大学出版会から出版するアンソロジー『知のエコロジカル・ターン』3巻の全原稿をとりまとめ、次年平成25年度に出版することであったが、2012年9月初頭から10月初頭まで5回の集中研究会を行い、原稿のレベルを高めることができた。予定通りに原稿はそろい、3月時点で、用語集、索引、前書きなどに着手し、校正段階を迎えた。海外との連携という第二の目的も、5~6月のエーマン氏の招聘、10月のヘフト氏の招聘、3月のウプサラジェンダー研究所でのフェミニズム科学技術論シンポジウムを行うことで十分な成果が得られた。エーマン氏と協力し、フェミニズム観点の科学技術論のアンソロジーを発刊する計画を進めることになった。国内学会でも共同のラウンドテーブルを組み、招聘したゲスト提題者と建築と環境についての議論を深めることができた。大谷氏が神経科学と拡張した心論についての例会報告を行った。 他方、川内は、一般社団法人日本福祉のまちづくり学会が設置した日本福祉のまちづくり学会震災特別調査委員会の「障害者向け住宅のバリアフリー化と改善手法の検討WG」の代表として、東日本大震災の仮設住宅に関する調査を行った。今後は、人工物の生態現象学的な分析を、分担者の桑子が行っている環境保護再生のプロジェクトや川内の住宅調査とを接続していく試みを追求する。ホームページも作成した。内容は徐々に充実させるつもりである。 分担者それぞれの研究成果も十分である。著作、論文、発表・講演などがそれぞれ二〇から三〇の業績を数え、各研究の総計としてすぐれた数字であり、多様な方面で発表されているのも特筆すべきだと自負してよいであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、当初の予定通り、これまでの研究、第一期「エコロジカル・ターン」を総括し、それをさらに第二期の「地域の生活環境構築のための生態学的現象学」(H.26~28)へと展開させていく、理論的かつ実践的な足場を築くことにする。各研究者は独自に自分のテーマを追求すると同時に、以下のような共同研究を行う。 まず、全3巻のアンソロジー『知のエコロジカル・ターン』を東京大学出版会から出版し、それに合わせたトークイベントと研究例会を開催する。 25年度は重要な国際学会が多く、国際理論心理学会(ISTP、チリ、サンチアゴ、5月)、国際生態心理学会(ICPA、ポルトガル、エストリル、7月)、世界哲学会(WCP、ギリシャ、アテネ、8月)のそれぞれにおいて複数の研究分担者が発表する予定である。国際連携としては、文化心理学の第一人者であるヴァルシナー(J. Valsiner)氏を9月に招聘し、東京で講演会、札幌で行われる日本心理学会77回大会での三嶋・森をオーガナイザーとしたシンポジウムを行い、生態心理学が文化の問題にどうアプローチすべきか考察する。また、科学技術論の分野では、科学技術の哲学の優秀な若手研究者であるファービーク(P-P. Verbeek)氏を招聘し、近著『技術の道徳性』についての連続講演を東京と仙台で行ってもらう予定である。国内学会では、上記の日本心理学会で、大谷と茂木健一郎氏を招いて、脳と身体と心の関係に関する基礎理論についてのシンポジウムを行う。 さらに、生態現象学を、具体的な地域環境研究へと応用する可能性を探る研究例会を行う。分担者の桑子と川内にそれぞれ人間的環境の構築というテーマで、これまでの実践的な環境研究を報告してもらい、一定の小規模地域における環境と人間の生態学的関係やアフォーダンスを分析する方法について今後の方向性を探ることにする。
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Research Products
(69 results)
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[Presentation] Development on a Direct Haptic Interface of a Novel Travel Aid for the Blind.2012
Author(s)
Ito, K., Fujimoto, Y., Otsuki, R., Okamoto, M., Akita, J., Komatsu, T., Masatani, A., & Ono, T.
Organizer
IARIA AMBIENT 2012
Place of Presentation
Novotel Barcelona Sant Joan Despi, Barcelona (Spain)
Year and Date
20120923-20120928
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