2014 Fiscal Year Annual Research Report
知のエコロジカル・ターン:人間的環境回復のための生態学的現象学
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24242001
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
河野 哲也 立教大学, 文学部, 教授 (60384715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 純一 立正大学, 文学部, 教授 (40134407)
佐々木 正人 東京大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10134248)
桑子 敏雄 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (30134422)
川内 美彦 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (30527932)
岡田 美智男 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50374096)
直江 清隆 東北大学, 文学研究科, 教授 (30312169)
長滝 祥司 中京大学, 国際教養学部, 教授 (40288436)
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (90325895)
森 直久 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (30305883)
萱野 稔人 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (20422371)
三嶋 博之 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (90288051)
染谷 昌義 高千穂大学, 人間科学部, 准教授 (60422367)
柳澤 田実 関西学院大学, 神学部, 准教授 (20407620)
熊谷 晋一郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (00574659)
石黒 広昭 立教大学, 文学部, 教授 (00232281)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生態学的現象学 / 生態心理学 / 身体 / 技術 / 倫理 / ギブソン / アフォーダンス / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生態学的現象学を理論的中核として、それを人間環境についての総合科学へと発展させることを目的とする。本研究では、人間環境における物(自然/人工物)、人、社会制度の相互作用を生態学的現象学の観点から分析し、人間と自然に対する関係性が最適となるような人間環境をデザインするための基礎理論を形成する。 3年目以降は、2年度に刊行した『知の生態学的転回』(東大出版会、2013年)の研究成果を踏まえ、その第二段階として、以下の5つのテーマを立て、グループに分かれ、現象学と生態心理学、風土学、建築学、看護学、障害学、発達心理学などの各実証科学をより緊密に連携させ、学際的な研究と実践を行った。5つのテーマとは、(1)「まちの技能」:特定の場所の持つ一群のアフォーダンスと人間の能力が、技能としてどのように実現されるかを明らかにする。(2)「超越のアフォーダンス」:脱エコロジカルな超越領域をエコロジカルな観点から捉え直す。(3)「私と私」:環境をめぐって、複数の人間が主体としてかかわり合うことによって生じる現象をエコロジカルな観点から追求する。(4)「感覚の世界」:感覚に関する哲学や科学の見地を広く考慮しつつ、身体感覚に一種の特権性を与える観点から感覚世界の全体像を描き出す。(5)「移動の未来」:移動、拡住、地図、ヴィスタ、引っ越しなど移動に関わる現象を生態心理学の観点から追求する。 今年度は、具体的に以下の形で研究活動を行った。 1, 国内外学会での研究発表:日本心理学会シンポジウムなど50件以上 2,論文・著作発表:論文は全体で約20件、著作は15件。 3,海外研究者の招聘:生態心理学を専門とするWithagen氏(8月)と心の哲学を専門とするOvergaard氏(3月)の二人の研究者を招聘し、連続講演会、ワークショップを行った。質量ともに十分な研究成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しいテーマに沿ってグループでの共同研究を行い、国内外学会での研究発表は、日本心理学会シンポジウムなど50件以上、論文は全体で約20件、著作は15件という十分な成果が得られた。海外研究者の招聘:生態心理学を専門とするWithagen氏(8月)と心の哲学を専門とするOvergaard氏(3月)の二人の研究者を招聘し、連続講演会、ワークショップを行った。以上のように、当期の予定どおりの研究進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、2013年に出版した『知の生態学的転回』(3巻本)に続き、第二のシリーズの刊行を目指して研究を推進する。第二シリーズでは、生態学的現象学と各実証科学分野をさらに緊密に結びつけ、引き続き「まちの技能」、「超越のアフォーダンス」、「私と私」、「感覚の世界」、「移動の未来」といった相互に関連する5つのテーマをたて、グループに分かれ共同研究を行う。これらの共同研究を各グループで推進すると同時に、例会で全体討議にかけて、最終年度の出版に向けて各研究の相互検討を進める。その成果は、日本哲学会(5月)、日本心理学会(9月)、科学哲学会(11月)、国際生態心理学会(7月)、国際理論心理学会(6月)などの国際国内学会で発表する。また、海外からフェミニズム身体論(レヴィ、キム)、心の哲学(ギャラガー、メナリー)、技術論(ヴァーヴィーク)の研究者を招聘し、シンポジウム、ワークショップ、講演会(5月日本哲学会公募シンポジウム、6月京都カンファレンス、9月日本心理学会シンポジウム)を開催する。この研究成果は、『生態学的現象学の展開(仮題)』シリーズに結実させる予定であり、現在、出版社と打ち合わせを続けている。
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