2012 Fiscal Year Annual Research Report
啓蒙期におけるフィクション使用の多様な形態と機能に関する総合的研究
Project/Area Number |
24242003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 渉 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (20314411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 敏郎 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 研究員 (20624662)
隠岐 さや香 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (60536879)
久保 昭博 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (60432324)
後藤 正英 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (60447985)
武田 将明 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (10434177)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 啓蒙 / フィクション / 18世紀 / 思想史 |
Research Abstract |
初年度は、全部で3回の会合(7月1日/大阪、11月25日/東京、12月15~16日/大阪)を実施し、共同研究メンバーの間では緊密な連携をとりつつ、研究を進めた。 第1回会合では、研究代表者・研究分担者・連携研究者の7名が顔を合わせ、共同研究の基本コンセプトを確認するとともに、それぞれの専門から研究計画の可能性を話し合っている。第2回会合は、今年度の課題となっていた宗教および教育の言説におけるフィクションの問題にしぼり、後藤正英(研究分担者)がレッシング『賢者ナータン』、齋藤渉が敬虔主義・ゴットシェート・カンペをテーマに発表をおこなった。 第3回会合では、日本ヘルダー学会との共催でシンポジウム「18世紀における〈ロビンソン物語〉」を開いた。武田将明(研究分担者)がデフォー『ロビンソン・クルーソー』、齋藤渉がカンペ『新ロビンソン』について報告したほか、京都大学人間・環境学研究科の大川勇氏を招き、シュナーベル『フェルゼンブルク島』について講演していただいた。シンポジウムでは多数の参加者とともに活発なディスカッションがおこなわれた。 今年度のもう一つの課題としてフィクション概念の再検討が予定されていたが、これについても、久保昭博(研究分担者)の参加していた京都大学人文科学研究所の共同研究「虚構と擬制」の成果をまとめた大浦康介『フィクション論への誘い』(世界思想社)が刊行されたのを機に、大浦氏の協力を得て合評会を開催した(3月16日/京都)。 このほか、日本独文学会主催第55回ドイツ文化ゼミナールのために来日中のウーヴェ・ヴィルト教授(ギーセン大学)を迎え、ヴィーラントのフィクションに関する講演会「翻訳者/著者としての編者」を開催した(3月22日/京都)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究は、おおむね当初の計画にしたがって進められている。 今年度の重点的課題であったフィクション概念の整備/再検討についても、宗教・教育にかかわる言説でのフィクションについてもほぼ所定の目標を達成しているといってよい。今後はさらにこれまでの成果を深化させ、研究計画後半の成果発表ないし報告への準備を進めていく予定である。 資料の調査や入手についても、研究分担者・連携研究者・研究協力者と緊密な連絡をとりつつ、効率的に進められている。また、国内および海外における関連分野の研究者とも協力関係を構築しているが、引き続き活発な協力と情報交換をおこなっていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、研究代表者・研究分担者・研究協力者の間で緊密な連絡をとりながら、各自の専門的テーマを中心に研究を継続する。6~7月には定例の会合、秋と冬にはそれぞれ個別テーマのワークショップを予定している。 また、連携研究者として参加していた菅利恵に、次年度以降は研究分担者に加わっていただき、演劇など、文字テクスト以外のメディアにおけるフィクションの問題をより詳しく考察する。 今年度は特に、次年度に計画している日本18世紀学会での共通論題(シンポジウム)、最終年度に予定する国際18世紀学会での共同セッションに向け、具体的なプログラムのアイディアを出し合いながら、考察対象や分析方針の細部を決めていきたい。
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