2013 Fiscal Year Annual Research Report
啓蒙期におけるフィクション使用の多様な形態と機能に関する総合的研究
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24242003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 渉 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20314411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 敏郎 獨協大学, 外国語学部, 講師 (20624662)
隠岐 さや香 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (60536879)
久保 昭博 関西学院大学, 文学部, 准教授 (60432324)
後藤 正英 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (60447985)
菅 利恵 三重大学, 人文学部, 准教授 (50534492)
武田 将明 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (10434177)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 啓蒙 / フィクション / 18世紀 / 思想史 |
Research Abstract |
2013年度は、共同研究の2年目にあたったが、1)思想史研究におけるフィクション概念を深化させつつ、研究メンバーの間で共有するという理論的課題と、2)それぞれの担当するテーマについて個別的問題を継続して研究するという歴史的課題の両面において、大きな進展が見られた。 1)については、サール、ジュネット、デリダ、シェフェール、ツィプフェル、清塚などの代表的著作を踏まえつつ、検討を進めている。特にサールのいわゆる「ふり(pretense)理論」における「著者の意図」の問題を(著者が確定できない場合や意図が定かでない場合を含め)思想史的研究においてどのようにあつかうべきか、また、書かれたテクストでないようなフィクション(劇の上演など)をどう考えるべきかという具体的なテーマの考察を進めた。 具体的には、2013年11月9日の定例研究会において、齋藤渉がツィプフェルのサール批判について報告し、研究メンバー間のディスカッションを深めたほか、12月22日のシンポジウム「フィクションと出来事」において久保昭博がシェフェールのフィクション理論を踏まえた発表を行なっている。 2)の歴史的課題については、研究メンバー各自が担当するテーマに継続して取り組んでいる。特に今年度は、新たに研究分担者となった菅利恵が11月9日の研究会で A. W. イフラントの演技論について発表をおこなった。この報告にもとづき、18世紀ドイツにおける演劇の観点から、フィクションの問題について議論を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も、共同研究はおおむね当初の計画にしたがって進められている。 特に、非文字媒体におけるフィクションの問題について、研究メンバー間で議論を深めることができた。また、ジュネットのいうパラテクストの視点からフィクショナルなテクストを考察する方法も有効であることが確認できた。今後はさらにこれまでの成果を深化させ、研究計画後半の成果発表ないし報告への準備を進めていく予定である。 当初の予定どおり、2014年6月22日には日本18世紀学会の共通論題(シンポジウム)として「啓蒙とフィクション」のセッションを本共同研究のメンバーで実施する案が承認された。現在、引き続きその準備を進めている。 資料の調査や入手についても、研究分担者・連携研究者・研究協力者と緊密な連絡をとりつつ、効率的に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、研究代表者・研究分担者・研究協力者の間で緊密な連絡をとりながら、各自の専門的テーマを中心に研究を継続する。 2014年6月22日には、日本18世紀学会の共通論題(シンポジウム)として「啓蒙とフィクション」を実施する。18世紀研究者たちとディスカッションをおこなうことで、専門的な知見を深め、さまざまな刺激が得られることを期待している。 今年度も例年どおり、研究メンバーで定期的に会合をもつほか、数件のワークショップないしシンポジウムを検討している。さらに最終年度にあたる2015年の国際18世紀学会での共同セッションに向けた計画をより詳細に具体化していきたい。 また、最終的な研究成果の刊行に向けた準備を本格化し、夏ごろを目途に出版計画を立てる予定である。
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Research Products
(28 results)