2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24243028
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
西條 辰義 高知工科大学, マネジメント学部, 教授 (20205628)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春野 雅彦 独立行政法人情報通信研究機構, その他部局等, 研究員 (40395124)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 経済理論 / 社会系心理学 / 環境政策 / 設計工学 |
Research Abstract |
囚人のジレンマにおいてアプルーバル・メカニズムを用いると,繰り返し実験の1回目から高い協力率を観測し,さらには高い協力率が最後まで維持できることを観測している.さらには,fNIRSを用いた実験研究にて,囚人のジレンマにおいてはストレスを感じているものの,アプルーバルメカニズムの場合だと,ほぼストレスなしで意思決定をしていることも観測している.二人の場合の公共財供給においても新たにミニマム・アプルーバル・メカニズムを開発し,理論のみならず,実験でも機能することを確認している.実験の理論研究においては,無限期間続くジレンマゲームにおける謝金の支払いはすべての回の合計に応じて謝金を払うのがベストという結果を得ている.さらには,実験でもそれをサポートするデータを得ている. 向社会行動におけるにおける扁桃体,側坐核といった皮質下領域と前頭葉皮質の役割の違いを解明しジレンマ解消のメカニズムの可能性を探っている.具体的には二者間の信頼ゲームにおいて相手の期待が分かるときに,格差による向社会行動と相手の意図に依存する向社会行動を分離し,二種類の向社会行動の神経基盤をfMRIで計測したところ,格差による向社会行動は皮質下領域との相関を示し,相手の意図に依存する向社会行動は背外側前頭前野との相関を示すことを観測している. 都市部において複数の市立病院にて産婦人科を維持するのが困難になり,医者も患者も苦しい状況に追い込まれているといるジレンマに直面しているが,大阪泉南地域における産科と婦人科に分離することにより,両者がウイン・ウインになっていることを検証している. 温暖化対策については,太陽エネルギーにおける太陽熱と太陽光の比較をしている.被験者アンケート実験を実施したところ,太陽熱による温水器の普及の効果のほうが太陽光よりもコストベネフット的にベターであることを観測している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
社会的ジレンマの解決に向かって,(1)新たなメカニズム(たとえば,アプルーバル・メカニズムやミニマム・アプルーバル・メカニズム)をデザインすることによる解決手法は理論と共に被験者実験でも機能することおよびfNIRSによる脳活動の計測でもそれを確認している;(2)信頼ゲームを用いた脳活動の計測でもジレンマ解消の経路を発見しつつある;(3)産婦人科における医者と患者の双方が困難な状況におちいるというジレンマを病院の集約化という手法を用い,その効果が大きいことを確認している;(4)太陽熱のほうが太陽光よりもコストパフォーマンスが高いことを検証し,現世代に(相対的に)負担をかけずに現世代と将来世代のジレンマを解決する一端を発見しつつある.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定した各領域で研究が進展しつつあるので,今後は,これらの研究を継続しつつ,(1)異時点間のジレンマ問題(現世代が温暖化対策をしてもその効果を得るのは将来世代であって現世代は対策の出費のみに終わるため対策がとれないというジレンマ問題);(2)発達障害や精神疾患の診断への応用(ジレンマゲームで奇妙な行動をとる人々の発達障害や精神疾患との関連)にチャレンジしたい.とりわけ,(2)は異分野との共同になるのでどのような研究体制をとればよいのかということ自体をまず課題にしたい.
|
Research Products
(19 results)