2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24243028
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
西條 辰義 高知工科大学, 経営学部, 教授 (20205628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春野 雅彦 国立研究開発法人情報通信研究機構, その他部局等, 研究員 (40395124)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 世代間持続可能性ジレンマゲーム / 仮想将来世代 / 自発的寄与メカニズムの安定性 / 帯状回活動変化と協力行動変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)昨年度開発した「世代間持続可能性ジレンマゲーム」を日本ばかりでなく,バングラデシュの都市部と農村部で実施した.日本の実験では仮想将来世代は機能したものの,バングラデシュの実験では都市部と農村部共にあまり有効には機能しなかった.都市部では仮想将来世代になろうがなるまいが短期的な利得を追求するのが常であり,農村部では仮想将来世代がいなくても持続可能な選択肢を選んだ. (2)昨年度は共有地そのものの不安定に引き続き,今年度は公共財供給における自発的寄与メカニズム(voluntary contribution mechanism,VCM)の安定性を考察した.準線形の効用関数および最適反応ダイナミックスを想定し,大域的安定性の必要・十分条件(公共財に対する選好が突出していてしかも十分に資金を保有しているプレイヤーの存在)を発見した.つまり,同様の似たプレイヤーばかりだと不安定になるのである. (3)(2)の実験モデルを作成し,年度末に上海交通大学にて実験を実施した.暫定的ではあるもののVCMの不安定性を検証したといってよい.公共財の供給においてはシステムそのものの不安定が公共財の重要な特質であることを見いだしたといってよい.なお,実験ではベストリスポンス以外の様々なプレイヤーの存在を発見しつつある. (4)年度末,北京において,600世帯を用いてフィールド実験を実施した.石炭暖房による北京の大気汚染情報,電力暖房による費用等の情報,将来世代に与える影響の情報を与えた場合とそうでない場合の比較検討を行い,(仮想)将来世代の効果の検証の分析を開始している. (5)脳科学研究においては,背外側前頭前野tDCSを行いながらMRI装置内で信頼ゲームを行った結果、帯状回活動変化と協力行動変化の因果関係を発見している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初想定した静学的な環境における社会的ジレンマの解決にほぼ成功し,これを越えて動学的な問題に直面している.昨年度と今年度で,社会的ジレンマの代表例である共有地や公共財供給において,共有地の場合には資源への自由なアクセス,公共財供給においてはフリーライダーの問題があるという視点からの研究が中心であったが,本研究のチームは,共有地,公共財ともにシステムそのものが不安定であるという新たな知見を得ている.社会的ジレンマの本質に迫る研究であると考えている. とりわけ,世代間の利得がぶつかりあう世代間持続可能性ジレンマという新たな枠組みを提示し,仮想将来世代の導入を含む理論研究を開始している.さらには,気候変動で持続可能性を維持が困難になりつつあるバングラデシュでの実験,大気汚染に悩む北京でのフィールド調査などにも研究を拡大している.
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は本研究の最終年度である.研究の軸足を世代間持続可能性ジレンマに移す予定である. (1)阪大チームが実施している岩手県矢巾町の将来ビジョン作成において仮想将来世代を導入するという実践研究と連携を深めている.この実践研究においては,仮想将来世代チームと現世代チームでは将来のビジョンそのものが大きく異なることが示されている.参加者の中で仮想将来世代になりきる人々,なりきれない人々の特質は何かを検証したい. (2)バングラデシュにおいて仮想将来世代がなぜあまり機能しなかったのかを解明する予定である. (3)公共財供給における不安定研究を深化させる予定である. (4)脳科学研究においては,まず、デコーディング手法を更に発展させ、これまでに明らかにしたAmygdalaの機能と前頭葉の関係を解明し、次にtDCS、TMSを用いてamygdala-前頭葉ネットワークに介入し脳活動と行動の因果関係を明らかにする予定である.
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] Future Design2015
Author(s)
Tatsuyoshi Saijo
Organizer
Future Earth in Asia, International Workshop, Transformation to Sustainability: Moving from Knowledge to Action
Place of Presentation
Research Institute for Humanity and Nature at Kyoto
Year and Date
2015-11-13
Invited
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