2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24243034
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
若杉 隆平 横浜国立大学, 成長戦略研究センター, 客員教授 (80191716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 太郎 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (40167854)
冨浦 英一 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (40273065)
伊藤 萬里 専修大学, 経済学部, 准教授 (40424212)
佐藤 仁志 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 研究員 (60466076)
椋 寛 学習院大学, 経済学部, 教授 (90365065)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中国市場 / 国営企業 / 生産性 / 直接投資 / task content / 貿易自由化 / 労働需要 / 関税 |
Research Abstract |
中国市場で事業を行う日本企業を対象として『中国の市場環境と事業環境に関する調査』を実施し、中国市場のメリットとリスク、技術取引上の障害、知的財産権の保護、他の東アジア市場との比較、日本の雇用に与える影響などに関するミクロ情報を収集した。また、中国研究者の協力を得て、中国の家計調査の個票データ等を整理した。 理論研究では、(1)国営企業が利潤と売上高(企業規模)の加重平均を最大化するとの仮定の下で、国営企業の生産性が民間企業より低くても、輸出・直接投資を行うこと、(2)貿易・直接投資への障壁が、技術採用を通じた輸出企業の生産性の向上・現地への進出方法にどのような影響を与えるかを理論的に分析し、競争的状況では、急速な貿易や投資の自由化が企業の技術向上をかえって阻害する可能性があり、漸進的自由化に意味があることなどを理論面から明らかにした。 実証研究では、(1)Melitzモデルを拡張し、企業の生産性に加えて、企業所有形態が中国企業の国際化に影響を与えていること、(2)中国のWTO加入前後の関税引き下げが中国で操業する企業の労働需要の弾力性に影響を与えていること、(3)日本の産業連関表・貿易データと米国の職業関連データをリンクさせて、貿易に含まれるtask contentを定量的に計測することにより、日本では製造に関連するtaskの純輸出が顕著に減少していること等を明らかにした。これらの研究成果を国際学術誌、ディスカッッションペーパーに公刊した。 中国対外経済貿易大学、精華大学、アメリカ・カーネギーメロン大学、台湾中央大学等からの研究者を招聘し、共同研究を行った。また慶應義塾大学と共同でコンファレンスを開催し、国内大学・日本銀行等の研究者との交流を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国市場で事業を行う日本企業に関して独自のミクロデータを収集・整備することに加え、中国家計調査データによるを分析を進めることができた。 市場の特性が企業の異質性に与える影響について、輸出と海外直接投資の選択を考慮したモデルを構築し、理論研究を進展させることができた。中国で事業を行う企業の労働需要に関して実証分析を行い、経済のグローバル化が労働市場に与える影響について実証研究を進展させることができた。 これらの研究は論文として取りまとめ、一部は査読付国際学術誌への掲載に結びつけた。また、日本企業の国際化に関する実証分析の成果をとりまとめて、Springerから英文書籍を刊行することができた。 国際コンファレンスの開催、中国の共同研究者との密接な協力関係による中国統計データの活用、米国、中国、台湾の研究者との共同研究など、国際研究ネットワークを活用した研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
『中国の市場環境と事業環境に関する調査』で独自に得たミクロデータ、中国政府統計(工業統計・家計調査等のミクロ統計)を活用することにより、市場制度が企業行動に与える影響を分析するなど、本研究課題により直結した独自の実証分析を加速させる。 企業の国際化と市場特性の関係について、輸出の固定費の影響と企業の異質性の関係、特に生産性の変化への影響をより詳細に理論分析しつつ、その結果を実証研究に繋げる。 日本企業の労働需要の弾力性がグローバル化によってどのように変化していたのかを分析し、労働需要の弾力性への影響が企業によって一様でないことを踏まえ、経済厚生への影響をどのように捉えるかについて、理論分析を進める。 本プロジェクトの理論と実証の両面での研究を進めるとともに、米国、中国の研究者等と研究交流を促進し、成果を発信する。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Features of Japanese Internationalized Firms: Findings Based on Firm-Level Data2014
Author(s)
Wakasugi, R., Ito, B., Matsuura, T., Sato, H., Tanaka, A., and Todo, Y.
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Journal Title
Internationalization of Japanese Firms: Evidence from Firm-level Data
Volume: Ch. 2
Pages: 15-45
DOI
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