2014 Fiscal Year Annual Research Report
リスク不確実性下における創造的で持続可能な地域経済システムの研究
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24243036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 良平 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (20172463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 達朗 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (00183319)
猪原 龍介 亜細亜大学, 経済学部, 准教授 (20404808)
曽 道智 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (60284345)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域経済循環 / グローバル化 / 災害リスク / アウトソーシング / 自地域市場効果 / 複数均衡 / 集積の経済 / 都市階層 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究主題である「地域連携」と[経済相互循環システム]、「都市階層モデル」などから持続可能な地域経済システムを構築するという目的に関しては、中村「まちづくり構造改革:地域経済構造をデザインする」(日本加除出版、2014)においてかなりの部分が達成されたと言えよう。今日の地方創生においても、中村が開発した「地域経済構造分析」各自治体からの問い合わせが相次いでいる状況である。 また、地域就業圏域の設定も終了し、そのデータベース化もほぼ完了したが、都市階層を考慮した都市規模分析には至らなかった。 持続可能な地域経済と複数均衡との関連では、NEGモデルを用いた巨大地震による労働移動の経済分析では、東日本大震災をはじめとする巨大地震が地域間人口分布に与える影響について分析を行った。分析の枠組みとしては、猪原・中村・森田(2013)「震災前後における宮城県内の地域ポテンシャルおよび労働分布の変化」の分析を拡張することで、日本国内の47都道府県モデルを用いたシミュレーション分析を行った。研究成果の一端は、徳永澄憲・沖山充編『大震災からの復興と地域再生のモデル分析』(文真堂,2014)に掲載されている。 曽は、グローバル化時代に、企業の生産を部分的に海外で行うOursourcingやoffshoringの変化パターンを明らかにした。その成果はThe North American Journal of Economics and Financeに掲載された。グローバル化時代に、資源都市の優越性が失われる。 黒田は、経済循環システムの有効性として、震災を念頭に置いた階層ネットワークモデルを構築した。そこでは中間財の代替性や規模の経済に着目し、交通ネットワークによって空間的に結節した多階層のサプライチェーンを理論モデルとして構築するとともに、局所的な災害が生産に与える影響を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
都市階層を考慮した都市規模モデル分析については、データベースの構築は完了したが、それにかなりの時間を割かれたことから、十分な都市異母分析には至らなかった。 リスク下における地域連携のゲーム論モデルについては、共同研究会などで引き続き検討中である。 持続可能な地域経済の視点から、巨大地震が日本の地域経済に与える影響について、空間経済学の地域ポテンシャルの考え方を活用することで分析を行った。ただし、本分析では距離データ等の地域データの問題もあり、複数均衡間の移行については分析ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
既に述べたことと一部重複するが、最終年度では、都市階層を考慮した都市規模モデル実証分析、地域間強力ゲームモデルの開発と実証、さらに現在、地域間距離などの地域データを精査し、より現実的なデータを活用することで、複数均衡状態を再現することに取り組んでいる。その上で、これまでと同様の分析を行い、複数均衡間の移行に伴う地域構造の変化を再現したいと考えている。
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Research Products
(15 results)