2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24243053
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 倫正 愛知学院大学, 商学部, 教授 (60114948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 敏夫 流通科学大学, 商学部, 教授 (80310580)
松田 修 名古屋産業大学, 環境情報学部, 教授 (90291872)
向 伊知郎 愛知学院大学, 経営学部, 教授 (20308761)
村田 英治 日本大学, 商学部, 教授 (90210038)
小西 範幸 青山学院大学, 会計プロフェッション研究科, 教授 (80205434)
角ケ谷 典幸 九州大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (80267921)
田代 樹彦 名城大学, 経営学部, 教授 (90268061)
齊野 純子 甲南大学, 会計大学院, 教授 (60311510)
中山 重穂 愛知学院大学, 商学部, 准教授 (80331635)
西海 学 愛知学院大学, 経営学部, 准教授 (30387401)
平賀 正剛 愛知学院大学, 経営学部, 教授 (00329070)
浅野 敬志 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 准教授 (30329833)
西舘 司 愛知学院大学, 経営学部, 准教授 (50460639)
眞鍋 和弘 福井工業大学, 工学部, 講師 (40509915)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際会計 / 概念フレームワーク / 資金会計 / 資金情報の有用性 / 会計と文化 / 企業主体説 / 共益資本主義 |
Research Abstract |
本研究は、IASBが現在開発中の概念フレームワークを総合的に分析することを目的とする。具体的には、研究領域を(A)概念フレームワーク、(B)実証研究、(C)会計と文化、に分けた上で、それらを有機的に結びつけて、国際会計の概念フレームワークの解明を目指すことを目的とする。 (1)Aグループ(概念フレームワーク)は、国際会計研究学会のスタディグループの勢いを持続して、次のような相当の成果を上げた。①『国際会計の概念フレームワーク』に関する最終報告書をまとめ、2012年9月の国際会計研究学会で最終報告を行った。これは国際会計の研究としては内外の最先端のものと考えられる。また、中山重穂『財務報告に関する概念フレームワークの設定―財務情報の質的特性を中心として―』(成文堂)が出版され、その他にも、佐藤倫正「資金会計論の計算構造」体系現代会計学第2巻第9章(中央経済社)など、多くの重要論文が公表された。②アジア会計学会第13回大会で研究代表者が「共益資本主義のための新会計モデルの可能性」と題する記念講演を行った他、研究分担者による研究報告も相当数なされた。また③12年8月ニューヨーク大学にザロウィン教授を訪問し意見交換を行い、13年3月にIASBを訪問しリ・リアン氏と企業主体説について意見交換を行った。 (2)Bグループ(実証研究)は、① Baruch Levの一橋大学の特別講演(8月30日)の内容の分析、② Lev and Zarowin(1999)の検討の開始、③ Lev and Sougiannis(2009)の検討の開始など、新しい資金会計観点からの実証研究に着手した。 (3)Cグループ(会計と文化)は、アンケート調査の準備を整えるとともに、二つの資本主義と会計主体論の関係に関する論文の発表があり、また、アメリカで設立された株主の権利が制限された「共益企業」についての調査を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Aグループについては、国際会計の概念フレームワークに関する最新の動向を把握できており、順調に研究も進んで①に近い達成度と考えられる。とくに、本研究が仮説として設定した「収益費用観と資産負債観の二項対比では現代会計は説明できない」という命題は、2012年11月15日にIASB東京オフィスの開所式でなされたフーガーホーストIASB議長による「IFRSに関する作り話は止めてくれ」と題するスピーチによっても支持されることとなった。IASBが模索しているのは、本研究が課題としている会計の可能性が高い。ニューヨーク大学とIASBの訪問は、このことの確認を求めてであり、高質の情報を得たと考えている。 Bグループについては、レブ・ザロウィンの業績に着目したことに特徴があり、関連論文の読み込みも進んでおり、おおむね順調の②の達成度と思われる。利益のレリバンス(価値関連性)が低下していることの本当の原因の究明が、現代会計を理解する鍵になると考えており、その準備が整いつつある。 Cグループについては、アンケートの実施にまで至っていないという意味で②と③の中間の状態であり、全体として、達成度は②のおおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(25年度)については、A~Cの各グループで以下のような活動を行うが、各グループ別の研究会も開催して、テーマごとの研究を深めるとともに、グループ全体の打ち合わせを併せて緊密に行う。 Aグループは、IASBの活動が今年度は再開されるので、公表される討議資料や公開草案の動向を仮説に従って整理する作業を継続する。また、必要に応じてコメントレターの提出を検討する。また、その情報収集のため、アメリカ会計学会(AAA)参加を含む海外調査を行うとともに、概念フレームワークに関する研究成果を、アジア会計学会(AAAA)など、海外の学会で報告する準備を整える。 Bグループは、IFRSの概念フレームワークの提案の根拠とされた実証研究を洗い出すとともに、関連する論文を収集して読み込みを行う。とくに、Lev教授とZarowin教授の著作を手掛かりに、日本への紹介のされ方や、実証研究の妥当性について検証を行う。また、グループを(1)キャッシュフロー班、(2)時価情報班、(3)経済的利益(主体利益やEVAなど)班に再編して、(1)~(3)のテーマごとに先行研究に関する知識を積み上げていく。 とくに、(1)班は、内外のキャッシュフロー情報の有用性に関する研究で近年の進展が見られないのを是正するため、新しい分析モデルを工夫する。また、会計発生高を裁量部分と非裁量部分に分ける分析手法が、資金法の損益計算にもとづくことを明らかにし、その観点からの実証研究を行う。(2)班は、時価情報に「資金循環力」の観点を導入した分析モデルを構築して実証研究を行う。 Cグループは、「会計と文化」に関する研究の可能性についてアンケートを日・中・韓で実施する。これらと並行して、非営利組織が株式会社を支配下におく組織の会計(たとえばIKEA)の会計について、研究の準備を整える。
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Research Products
(39 results)