2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24244001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺尾 宏明 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90119058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 正彦 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90467647)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 代数的組合せ論 / 超平面配置 |
Research Abstract |
25年度は「イデアル自由予想」(あるいは,Sommers-Tymoczkoの第2予想)を解決した.阿部拓郎(京都大学・工),Michael Cuntz, Torsten Hoge(ともにHannover Leipzig大学),Mohamed Barakat(Katholische Univ. Eichstadt-Ingolstadt) と5人の共著の論文(寺尾がcorresponding author)を執筆し,J. of Euro. Math. Soc. (JEMS)に投稿し,現在,レフェリーレポートを受けて改稿論文を再提出中である.また,この論文の主定理を含む講演を,FPSAC(Formal Power Series and Algebraic Combinatorics) in Chicagoに申し込んだところ,承認され講演することになった.また,25年2月にGerhard Roehrle(Bochum),25年3月にLouis Solomon(Univ. Wisconsin)と研究打合せを行い,Sommers-Tymoczkoの第一予想の改訂法について有益な議論をおこなった.25年11月にはトルコのGalatasaray大学に田邉晋を訪れ,自由因子研究について奥行きのある議論をすることができた.また,連携研究者の松本耕二(名大)を米国Brown Univ.に派遣し,研究課題に関しての講演および研究打合せをしてもらった.研究分担者の吉永正彦が25年8月に国内の有力研究者7名に北大・理への出張を依頼し,研究課題に関する講演を行ってもらうことにより,情報収集を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,研究目的として,以下の3つを掲げている.すなわち,(A)結晶配置・鏡映配置の代数的・幾何的研究,(B)複素数の重み付き多重超平面配置に付随する局所系コホモロジーの研究,そして,(C)超平面配置の自由性についての研究,特にいわゆる「寺尾予想」にの続編に向けての研究である.この中で目標(A)については「9. 研究実績の概要」に述べたとおり当初をはるかに上回る進展を示した.実際,「イデアル自由予想」が証明され,しかもその指数と正ルートの高さとの間に美しい調和(相対分割)があることが証明された.したがって(A)の目標については当初の計画をはるかに超えて進展している,と言うことができる.目標(B)については,研究分担者である吉永正彦のmulti-netsに関わる2次元実超平面配置についての研究が順調に進んでいる.目標(C)については,残念ながら有力な進展がなく,全体評価として(2)とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,目標(B)(C)に集中する.特に目標(C)については,26年度を加速に向けての1年間とし,その勢いで最終年度の28年度に目標に到達することを見据えて,研究の方向性を明確に打ち出す.そのためにも,多くの自由超平面配置の実例を調べることが必要となるので,この2年間で培ったドイツのグループ(Bochum, Hannover, Eichstadt-Ingolstadt, Bremen)との連携がさらに重要になる.また,25年度学位を取得した陶山大輔は北海道大学大学院理学研究院専門研究員として,一般Shi・一般Catalan配置の微分加群をさらに深く研究する.また,最近導入された興味ある性質をもつIsh配置の一般化とIsh配置の自由性を検討する予定である.
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