2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24244004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小谷 元子 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50230024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 隆 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (90234509)
塩谷 隆 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90235507)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 幾何学 / 離散幾何学 / スペクトル解析 / スピン系 |
Research Abstract |
物性物理における基本的な研究題材である電気伝導性は対応するハミルトニアンのスペクトル構造によって決定される。近年の中心的課題であるスピントロニクスは、これまで電子密度のみに注目してきたものを、電子のもつスピンに注目するものであり、数学による定式化が期待されている。特に、波動関数のなすバンド構造のトポロジカルな性質であるトポロジカル絶縁体とその表面流は、非可換幾何学の枠組みで定式化することができる。平成24年度は既存の理論を整理し理解を深めた。平成25年度はこれを数学的に再構築し、さらに物性物理における未解明問題への展開を目指して研究を行った。 研究代表者 小谷を中心に、分担者熊谷、塩谷、連携研究者 尾畑、楯、宮岡と緊密に連絡を取りつつ研究を進めた。 量子ウォークに関しては特に楯を中心に研究が進展し、いくつかの論文および国際集会で発表した。カーボンナノチューブに関しては、非常に短いチューブや小さな破片として合成される場合においても、構造を記述できるよう、離散曲面論による定式化を目指し、いくつかの指標を提案した。この結果は論文として発表した。 量子スピン系に関する勉強会、セミナー、国際ワークショップを開催し、トポロジカル絶縁体の表面状態をcyclic cohomology を導入したC*環の指数定理によって表し、更にバルクーエッジ対応を6項完全系列を用いて説明できることを理解した。これを拡張し、2つの絶縁体に挟まれた界面に生じるトポロジカル状態をチャーン数で表すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は物性物理の言葉や問題意識がわかりにくく数学的な定式化に時間がかかるように思われたが、勉強会や国際集会時の討論をもとに急速に理解が進み数学的に普遍な形での理解が深まった。さらに、それを用いていくつかの国際集会での招待講演や論文の形で成果発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り、小谷が分担者、連携研究者と緊密な連絡を行い、指揮を取る。 量子ウォークに関しては、楯氏を中心に熊谷氏と協力体制をとって、理解を進める。カーボンナノチューブの離散幾何学的アプローチは小谷が宮岡氏と協力し進める。離散曲面論の第一人者であるPoltier氏をドイツから招聘し、議論を深める。量子スピンホール効果に関しては、一般的な枠組みができ、C*環の指数定理によるバルクーエッジ対応を議論する準備が整った。欠陥を含む場合への拡張を塩谷氏、東大の古田氏とともに進める。オーストラリア、ドイツ、フランス、中国等で研究情報の収集と成果発表を行う。
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Research Products
(45 results)