2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24244004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小谷 元子 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50230024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 隆 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (90234509)
塩谷 隆 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90235507)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 幾何学 / 離散幾何学 / スペクトル解析 / スピン系 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者 小谷を中心に、分担者 熊谷隆、 塩谷隆、 連携研究者 尾畑伸明、 楯辰哉、 宮岡礼子と緊密に連絡をとりつつ研究を進めた。小谷の指導のもと、量子ウォークは熊谷、尾畑、楯氏が、量子ドラムは小谷、楯、宮岡が、低次元電子系の物性は塩谷、宮岡が中心となって研究を推進した。 近年の物性物理の中心的な課題である電子のスピン機動相互作用を取り入れたスピントロニクス(スピン+エレクトロニクス)、特に、波動関数のなすバンド構造のトポロジカルな性質が、伝導性・絶縁性を決定するトポロジカル絶縁体の電子物性に対して、離散距離空間の幾何学、スペクトル幾何学、非可換幾何学、トポロジーの知識を適用することで、量子スピン系の離散幾何解析学を展開した。昨年に引き続き、トポロジカル相に関する勉強会を定期的に開催した。今年は、理論物理研究者も交えて行い、物性物理の問題意識に応える問題設定ができ有意義であった。 低次元電子系においては、カーボンネットワークの新しい構造とその物性研究を行う。カーボンネットワークを3分岐周期グラフととらえ、3次元空間内の曲面論の知識を用いて新しい構造の探索および、既知の構造に関する幾何学的不変量と物性の相関関係の評価を行った。量子ウォークは、昨年度に楯氏により一般的な定式化が提案されたが、これを更に発展させ結晶格子の量子ウォークに関する研究、特に局在化の条件の特定を行った。 Konrad Poltier氏、Thomas P. Russell氏、Stephen Hyde氏、Mathai Vargehse氏、Boune Christopher氏を招聘し研究討論を行った。また、米国 テキサスA&M大学、ベトナム ホーチミン大学、スウェーデンMittagLeffler 研究所、スペイン Costa Ballenaなど海外および国内研究集会において成果を発表し、有意義な情報交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの研究会や発表会を開催し、物性物理の最近の進展や問題意識・語彙などの理解に努めた。昨年度に、非自明な進展があり、数学的にも物性物理にとっても興味深い成果が得られて論文として発表した。これを今年度は更に深めるために、国内外の多くの研究者との情報交換・研究討論および成果発表に努めた。今後は、これらの成果を基に、数学的に意義の深い非コンパクト、非線形な設定への拡張へと挑戦したい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り、小谷が分担者、連携研究者と緊密な連絡を行い、指揮を執る。量子ウォークに関しては、楯氏を中心に熊谷氏と協力体制をとって推進する。カーボンネットワークの数理に関しては小谷が宮岡氏と協力して進める。8月に国際研究集会を開催し、第一人者と議論を深める。最終年度であるので、これまでの成果を整理し、5月にフランス、8月にインドネシア、9月にオーストラリアの集会に参加し発表する。
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Research Products
(32 results)