2013 Fiscal Year Annual Research Report
CCSゼーマン効果と理論計算を連携させた星形成における磁場の役割の研究
Project/Area Number |
24244017
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
中村 文隆 国立天文台, 理論研究部, 准教授 (20291354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 英夫 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 特認教授 (20022717)
亀野 誠二 国立天文台, チリ観測所, 教授 (20270449)
土橋 一仁 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20237176)
高野 秀路 国立天文台, 野辺山宇宙電波観測所, 助教 (00222084)
松本 倫明 法政大学, 人間環境学部, 教授 (60308004)
伊王野 大介 国立天文台, チリ観測所, 准教授 (60425402)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 偏波観測 / 電波観測 / 分子雲コア |
Research Abstract |
本研究の目的は、野辺山45m電波望遠鏡に搭載する45GHz帯両偏波新受信機を開発し、それを用いて星形成の母胎である星なしコアに付随する磁場を、星無しコアに豊富に存在するCCS分子輝線(JN=43-32)のゼーマン分裂を測ることによって、磁場強度を求めることである。 本年度は、初年度に野辺山45m電波望遠鏡に搭載した受信機の性能評価をし、改良のため一度6月に望遠鏡から取り外し、性能測定した結果をもとに、受信機内部の改良を行い、1月に45m望遠鏡に再搭載し、45mシステムとスイッチボックスを使って接続し、野辺山45mシステムに組み込んだ。改良の結果、受信機雑温度は、5Kほど低くなった。また、ビームサイズ、ビーム能率などの基本的な値をSiOメーザーのOTF観測や土星の連続波観測により測定した。 また、試験を兼ねて新受信機を用いて、CCS分子輝線のマッピング観測を行った。この観測はCCSとHC3Nラインの同時受信で行った。その結果から、観測効率が既存受信機に比べ8倍よいことを実証した。さらに、Serpens South領域と呼ばれる星団形成領域で、非常にCCS輝線を伴うコアがあることを発見した。その結果はAstrophysical Journal Lettersに投稿中である。 また、月と惑星を用いた偏波校正を試験し、その手順がうまく行くことを確認した。さらに、偏波校正の手順をSiOメーザーの観測で試し、偏波を示すSiOメーザーの全ストークスバラメーターを求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標であるCCSゼーマン観測をする準備が、二年目にあたる平成25年度で整ったから。ここでいう準備というのは、受信機開発、偏波校正法の確立、45mシステムへの組み込みを差す。平成26年度から、偏波観測観測が本格的にできるようになったから。 数値シミュレーションの方が観測に比べ少々遅れぎみであるが、ひき続き投稿論文の準備を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的であるCCSのゼーマン観測を、10天体ほど進める。まず、既存のデータを使って、観測プライオリティを決め、観測を進める。さらに、受信機開発や偏波システムについての投稿論文をまとめる。ターゲット天体は、CCSの強度の強いTMC-1(CP), Serpens Southを含める。その他、タウラス分子雲の分子雲コアを中心に選ぶ。また、強い偏波を示す晩期型星のSiOメーザーの観測も行い、偏波解析のスキームのチェックも行う。また、観測の結果をまとめた論文の執筆も進める。 観測と同時に磁気拡散を考慮した三次元数値シミュレーションを行い、コア形成過程における磁場の役割を理論的に明らかにし、その結果を投稿論文にまとめる。3次元シミュレーションでは分子雲内部に際立って多いフィラメント状のガス塊が磁気拡散により分裂する場合、磁気拡散が無い場合、磁場で安定に支えられるような場合でもジーンズ波長程度に分裂することが分かってきた。このとき形成されるコアの磁場構造を詳しく調べる。すでに計算はおおかた完了しているので、今年度中に論文にまとめるのは難しくないと考えている。
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Research Products
(9 results)