2014 Fiscal Year Annual Research Report
Belle‐II実験のための高性能新型粒子識別装置の開発
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24244035
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
住吉 孝行 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (30154628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (00249898)
川崎 健夫 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00323999)
河合 秀幸 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60214590)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 粒子識別装置 / リングイメージチェレンコフカウンター / シリカエアロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で開発されるシリカエアロゲルを輻射体とするリングイメージチェレンコフカウンター(A-RICH)の中で、最も重要な要素がチェレンコフ光を検出するHAPDである。装置全体で420本(設計変更により480本から420本になった)のHAPDを使用することになるが、共同開発を行ってきた浜松ホトニクス社で昨年度から大量生産が始まった。H26年度末までで約400本のHAPDが納品されたが、その内受け入れ検査で良品と判定されたのは約350本である。若干歩留まりが悪いが、平成27年度中には必要な420本すべて準備可能であると考えている。 シリカエアロゲルの製造が終了し屈折率や透過率などの測定を終え、輻射体として使用できるものが準備できた。HAPDからの信号読み出しに使用されるASICが2520個製造され、それらの性能評価を行い、実際に420本のHAPDの読み出しに必要とされる1680個以上を選別する作業を行った。評価項目は、増幅率の線型性、offset調節機能、波形整形時間などである。同時に6個のASICの評価が可能な評価ボードを3台製作し、8月から評価を開始し、11月に終えることが出来た。 2081個のASICが正常と判定され、それらの中から1680が共同研究を行っているリュブリアナ大学で製作されている読み出し基板にマウントされることになっている。HAPDに8kVの高電圧を印加する高電圧電源システムが製造業者との間で共同開発されてきたが、最終的な長期試験などを行い、設定電圧と実測値の比較、ランプアップ・ダウンの性能、長期の電圧安定性などすべて仕様を満たす電源が完成した。HAPDやシリカエアロゲルの透過率などをモニターするシステムとして開発してきたLED+光ファイバーシステムも6台完成し、装置全体に一様な光を導入することが出来るようになった。HAPD以外、すべてのパーツがそろった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の概要で記述したように、HAPD以外の検出装置に必要な部品をそろえることが出来た。シリカエアロゲル輻射体、読み出しASIC、モニターシステム、高電圧電源などは性能評価も終え仕様を十分に満たす期待通りのものが準備できている。H27年度中にこれらの物をすでに完成している支持構造体に設置すれば、装置が完成することになる。残りのHAPDも順調に製造が進んでおり、スケジュール通りに装置の完成が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度でHAPD以外の装置建設に必要な部品はそろえられた。H27年度には支持構造体へこれらの部品の設置が実施される。装置全体はドーナツ型の形状をしており、60°の扇型の形状を持つ容器6個で全体が構成される。まず、1個の扇型容器内に輻射体、HAPD、読み出し電子回路、モニターを設置し、宇宙線などを用いて、性能試験を行う。また、モニターシステムを稼働させて、光検出器の経時変化などをモニターするようにする。この作業を6回繰り返して装置全体を完成させる。本研究期間内に期待通りの粒子識別装置を完成させることが出来ると考えている。
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