2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24244038
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
今井 憲一 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 客員研究員 (70025493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐甲 博之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40282298)
佐藤 進 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (70302346)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 飛跡検出器 / ダイバリオン / ストレンジネス |
Outline of Annual Research Achievements |
Hダイバリオン探索実験のための中心実験装置であるハイペロンスペクトロメータの開発がこの研究の中心課題である。26年度は、そのための3次元飛跡検出器Time Projection Chamber(TPC)とそれを入れる超電導ヘルムホルツ磁石の設計をすすめた。TPCについてはこれまでの開発研究を踏まえて6000チャネルのパッド読み出し部分の制作やGEMガス増幅の制作を開始した。磁場と電場の計算をしながらTPCの電場整形器と超電導磁石の詳細設計を行った。電場と磁場の性能がTPCの位置分解能に大きく影響することが分かっている。予算とも照らしながら何度も計算と設計を繰り返してこれらの仕様をほぼ決定できたことは大きな成果である。ただこれらの計算に時間がかかり電場整形器の制作が年度内には終わらずその分の予算を次年度に繰り越した。 またこれらの仕様決定にともないHダイバリオン探索実験の全体設計も行い、これまでより精度のたかい実験のシミュレーションを行い、当初の想定より少し大きな効率と当初どおりの質量分解能でHダイバリオンを探索できることを示したことは大きな成果といえる。 またこれまでプロトタイプのTPCを用いて行ってきたさまざまなテスト実験などの開発研究の成果を公表論文にまとめたこともその実績をしめすものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究の主題である、Hダイバリオン探索実験とそのためのTime Projection Chamber (TPC)を中心とするハイペロンスペクトロメータの開発が研究の中心課題である。現在までTPCについてはprototype TPCを用いて大強度ビームも利用してさまざまなテストを行い、結果を論文にまとめることができた。その結果とシミュレーション計算に基づいて実機のTPCの設計を行いその制作をおこなった。カギとなるガス増幅器のGEMやパッド読みだしなどを決定して制作を行った。電場整形機や超電導磁石については、シミュレーションによる電場磁場の計算を行い、設計を完了した。このTPCは標的内臓で高強度のビームが直接はいるという極めてユニークなもので、開発研究の内容が極めて多い。それを考慮するとこれまでの進捗状況はおおむね順調といえるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方策としては、期間内にHダイバリオン探索実験の中心測定装置であるハイペロンスペクトロメータを完成させることが最も重要である。さいわい設計はすべて26年度に終えた。TPCについては次年度に繰り越した電場整形機を完成させ、TPC全体が完成する。その後放射線源、宇宙線、実際のビームでのテストを行い、データ解析のプログラムを完成させて実験に備えることになる。 J-PARCではハドロンホールの放射線もれ事故のためにビーム利用の予定が大幅に遅れている。Hダイバリオン探索実験も遅れることが予想されるが、いつでも実験できるよう研究期間内に万全の準備を整えるつもりである。
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