2012 Fiscal Year Annual Research Report
JEM-EUSOプロトタイプ望遠鏡による空気シャワー横方向粒子分布の観測
Project/Area Number |
24244042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
戎崎 俊一 独立行政法人理化学研究所, 戎崎計算宇宙物理研究室, 主任研究員 (10183021)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宇宙物理 / 宇宙線 |
Research Abstract |
本研究は「極限エネルギー宇宙天文台JEM-EUSOミッション」のプロトタイプ望遠鏡 (TA-EUSO) を製作し、米国の Telescope Array(TA)実験サイトで空気シャワー観測を行い、ミッション機器の機能実証 を行う。 平成24年度は、TA-EUSO望遠鏡の製作と TAサイトの調査を行った。TA-EUSO 望遠鏡は、主に光学系と光検出装置からなる。光学系は2枚の1m角のアクリル製フレネルレンズで構成され、視野±4度の領域にわたって、6mm(RMS)以下のスポットサイズを持つ。理研において、フレネルレンズを製作し、簡易結像性能の確認を行った。その後、米国アラバマ大学のJEM-EUSO共同研究者により詳細性能の確認を行い、TA-EUSO光学系が期待した性能を持っていることを確認した。光検出装置は、 Photo-Detector Module (PDM)とData Processing (DP)ユニットで構成される。PDMは、JEM-EUSO焦点面検出器の基本要素で、64チャンネルマルチアノード光電子増倍管36本と、それに付随する読出しASIC、高電圧供給装置、トリガ回路からなる。DPユニットは、データ収集FPGA、制御CPU、クロック供給回路、GPS回路、House Keeping回路、電源回路からなる。これらの光検出装置はJEM-EUSOの構成に準拠したものとなっており、JEM-EUSOにおける担当部署において製作を行った。理研でこれらを統合し、統合稼動試験を行い、2.5μ秒毎の光子計数データを取得できることを確認した。また理研の屋上にて、上記光学系と光検出装置を組み合わせ、紫外線レーザー光の試験観測も行った。 TAサイトで、上記光学系を望遠鏡として組上げ、夜光の試験観測を行った。10-20 counts/2.5μsという半月期の曇天としての期待通りの観測値を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度では、当初のスケジュール通り、光学系と光検出器の製作を終え、それらが期待通りの性能が有ることが確認できた。また、光学系をTAサイトに設置し、背景夜光の試験観測も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、光検出装置を、TAサイトの望遠鏡に設置し、TA-EUSO望遠鏡を完成させ、試験観測を開始する。TAサイトの設備であるCentral Laser Facilityからのレーザー光やElectron Light Sourceからの電子ビームの像を観測する。これらの観測は、TAの蛍光検出器のトリガ信号を用いて観測を行い、観測する視野もTAの蛍光検出器と重なる領域を観測する。従って、TAの蛍光検出器と同事象の同時観測となる。それぞれの観測結果を比較することにより、TA-EUSO望遠鏡の性能の理解を深める。 また、10^18eVの超高エネルギー宇宙線空気シャワーの観測も開始する。TAの蛍光検出器と比べてTA-EUSO望遠鏡は一部の視野しか観測できないが、良い解像性能を持っているので、シャワーコア付近の横方向分布の推定を行う。このような事象を、年間10事象ほど観測できると期待している。
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Research Products
(3 results)