2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24244053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小形 正男 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60185501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 秀敏 東京理科大学, 理学部, 教授 (10004441)
鈴村 順三 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (90108449)
小林 晃人 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80335009)
河野 浩 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10234709)
伏屋 雄紀 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (00377954)
遠山 貴巳 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70237056)
森成 隆夫 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (70314284)
多々良 源 独立行政法人理化学研究所, 理工学研究科, チームリーダー (10271529)
松浦 弘泰 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40596607)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ディラック電子 |
Research Abstract |
本研究課題は、ディラック電子系のうちバルク測定が可能な物質について理論的な研究を行い、実験との比較検証も通してディラック電子系に普遍的な性質を探求することを目的としている。この目的のために以下の研究がすすめられた。 1)分子性導体α-(BEDT-TTF)2I3について、(1)サイト表示RPAを用いたスピン揺らぎの解析(2)加圧によるディラック点の変化(3)ディラック点が存在する条件(4)強磁場下でのホール効果(5)格子欠陥がある場合の電子状態や帯磁率の異常、などの諸点について研究を行った。 2)ディラック電子系を実現しているビスマスを念頭に、(1)ディラック電子の有効モデルであるWolffモデルにおいてスピンホール伝導度を久保公式に基づいて計算し、それが軌道磁化率と明確な関係があることを見出した。また(2)ビスマスの角度分解量子振動スペクトルを拡張ディラック模型に基づき解析した。 3)ディラック電子が出現する鉄系高温超伝導体の反強磁性金属状態における、電気抵抗の面内異方性の特徴を考察した。またC3PbOの関連物質であるBa3SnOに対して、第一原理計算に基づく電子状態の詳細な解析を行い、Ba3SnOにおいては2つのディラック点が近接して現れることを見出した。 4)スピン軌道相互作用が生む特異な現象として、(1)界面で発生する強いRashba型スピン軌道相互作用が、磁性と電気伝導特性に与える効果を解析した。また(2)トポロジカル絶縁体の表面状態を強磁性にした系を念頭におき、2次元ディラック強磁性体における電流と磁化の相互作用を微視的に調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各グループは理論による研究を順調に続けている。またこの科研費に参加している理論研究者を中心に、関連する理論研究者および関連物質の実験研究者を招いて今年度2回研究会を行った。研究会を通して、参加研究者同士の共同研究や実験結果の説明に向けて新たな研究が始まった。 また国際会議にも多数参加し、ディラック電子に関する研究が進展していることを海外に向けて発信した。研究課題ではポスドクを雇用することを計画していたが、ロシアからの若手の優秀な研究者を研究グループに迎え入れることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き各グループの研究を続けるとともに、これまで共同研究がなかった者同士の共同研究を開始したり、実験との比較を精力的に行うようにしたい。また、今後も引き続き関連する理論研究者および関連物質の実験研究者を招いた研究会を行う。また国際会議にも参加し海外へ発信を続ける。
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Research Products
(45 results)