2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24244054
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永長 直人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60164406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椎八重 航 独立行政法人理化学研究所, 交差相関理論研究チーム, 副チームリーダー (20273253)
BAHRAMY Mohammad 独立行政法人理化学研究所, 強相関理論研究チーム, 特別研究員 (10587463)
望月 維人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (80450419)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 強相関係 / トポロジー・ゲージ場 |
Research Abstract |
固体中電子の「トポロジカル現象」を、磁性体を中心とする実際の物質で実現するための理論設計学を構築することを目指した。3つのテーマそれぞれに対して得られた成果を以下に示す。 1.1電子状態のトポロジー設計:パイロクロア格子を持つ反強磁性体を念頭に、バルクでは通常の反強磁性体で、表面が量子ホール系であるような系の電子状態を解析した。この場合、2次元表面電子系と3次元のバルク状態が混成するので、量子ホール効果やエッジチャンネルが生き残るかどうかは自明な問題ではなくなる。タイトバインディングハミルトニアンを用いてこの問題を数値的に調べ、2次元状態がそのトポロジーに保護されて表面近傍に局在し、エッジチャンネルも生き残ることを示した。さらに進んで解析的な理論を構築し、トポロジカル数が局在をもたらす理由を、自己エネルギーと巻つき数の関係から理解することができた。 2.トポロジカル磁性体の設計:1.の成果を元に、パイロクロア反強磁性絶縁体の第一原理計算を行うための準備を行った。具体的には非共線構造のスピン配置とスピン軌道相互作用の両者を扱えるコードの開発を行った。 3.スピンテクスチャーの設計:ヘリカル磁性体におけるスキルミオンのダイナミックスをLLG方程式を数値的に解くことで調べた。電流下、不純物によるピン止め効果を取り入れた模型でその運動を追跡し、スピントランスファートルクから予想される速度での運動が普遍的に成り立ち、ピン止め効果は極めて小さいことを見出した。この結果は、従来調べられてきた強磁性体の磁壁の運動と著しい対照をなしており、スキルミオンのメモリー等への応用に道を開くものである。 以上の成果に基づき、1.と3.に関しては論文をまとめ投稿中である。
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Research Products
(1 results)