2014 Fiscal Year Annual Research Report
静電キャリア濃度制御で切り開く新物性探索とモットロニクス
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24244062
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
井上 公 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (00356502)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2015-03-31
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Keywords | 負の静電容量 / モットFET / サブスレショルド・スイング / 易動度 / 有機無機積層ゲート絶縁体 / 高易動度 / EOT |
Outline of Annual Research Achievements |
SrTiO3単結晶上に、HfO2とパリレンとの積層ゲート絶縁膜を用いて電界効果トランジスタ(FET)を作製しました。ワイヤリングの影響や、電極の寄生容量の問題などを克服したところ、予想をはるかに上回る性能でFET動作することがわかりました。そのひとつは、ゲート電圧を変化させた時にドレイン電流の立ち上がりがどの程度急峻になるかという指標「サブスレショルド・スイング(SS)」です。この値は小さいほど良いのですが、室温での理論上の最小値は60mV/decadeで、SiのFETでも100mV/decade程度です。我々のFETは欠損を作りやすくて制御しにくい遷移金属酸化物SrTiO3上に作ったにもかかわらずSSの値は170mV/decade以下で、過去の文献値をはるかに下回るものとなりました。さらにキャリアの易動度は10cm2/Vsにもなり、これもこれまでの報告の10倍です。我々の2層絶縁膜は非常に優秀で、SiO2ゲート絶縁膜に換算した膜厚(EOTと呼ばれる)は0.21nmという驚異的な値です。この素晴らしいゲート絶縁膜を使って、SrTiO3の表面に誘起したキャリア濃度をホール係数から見積もったところ、ゲート絶縁膜の静電容量から予想される古典的濃度を10倍も上回りました。このときゲート絶縁膜の静電容量は全く変化しておらず、SrTiO3の表面に「負の静電容量」つまり「負のキャリア圧縮度」が生じていることが判明しました。実際の報告例はありませんがモットFETを作製すると、モットギャップが閉じる際に負のキャリア圧縮度が生じるのでこのような現象が生じても良いという仮説があります。モット絶縁体ではないSrTiO3を用いたFETで、モットFETで予想される特性が観測され、思わぬところでモットFETのプロトタイプを作製してしまったことになります。現在論文を執筆しているところで近日中に投稿します。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)