2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24244068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
笹井 理生 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30178628)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換アメリカ / 非断熱揺らぎ / クロマチン構造 / ゲノムMD / 遺伝子ネットワーク |
Research Abstract |
24年度には,代表者の他,連携研究者2名,研究協力者(国外1名),大学院生2名,雇用した研究員2名の態勢を得て,次の4つの計画をスタートさせた。(1)これまで展開してきた遺伝子発現の統計力学モデルの経路積分表示 (PNAS 2003, J. Chem. Phys. 2007) をさらに発展させ,ニューヨーク州立大学のJin Wang 教授との共同研究により,非断熱揺らぎを確率流の渦として表現する新手法を発展させた。(2)準備段階で計算してきたDNA ループ形成のモデル(Biophys. J. 2011)をもとに,クロマチン構造変化のダイナミクスを表すモデルの構築を開始した。(3)準備段階で用意してきたゲノムMD の方法 (Biophys J.2012)をさらに整備し,ゲノム立体構造の変化による遺伝子制御機構が存在する可能性を分析した。(4)現在受入中の研究費である挑戦的萌芽研究による,胚性幹細胞のコア遺伝子ネットワークの確率シミュレーションの結果を利用し,上記の(1)超非断熱揺らぎ(2)クロマチン構造ダイナミクスの2つの結果をもとに,モデルの改変による遺伝子発現シミュレーション結果への影響を概念的に整理して,計算と実験を比較するための枠組みを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子スイッチの非断熱揺らぎについて、非断熱揺らぎを循環的速度流として表現する新しい理論を構築した。また、その基礎となる非断熱揺らぎの理論について、さらに深い分析を行った。一方、ゲノムMDによるクロマチン構造の研究を進め、モデルを洗練させて、クロマチン構造と遺伝子発現の相関についての分析を行う準備を整えた。また、上記の結果を総合して、遺伝子ネットワークの振る舞いが非断熱揺らぎに大きく影響を受けることを示し、真核細胞の理解への道を開拓した。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノムMDの方法をさらに進展させ、実験と比較して有効な理論とするとともに、非断熱揺らぎの統計力学理論、遺伝子ネットワークシミュレーションと合わせて、真核細胞の遺伝子発現をマルチスケールで解明する研究を推進する。
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