2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24245005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
諸熊 奎治 京都大学, 福井謙一記念研究センター, 研究員 (40111083)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2015-03-31
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Keywords | 計算化学 / 化学反応 / 反応経路探索 / 炭素ナノ構造 / 生体反応機構 / 理論化学 / ポテンシャル面 / 触媒反応 |
Research Abstract |
推進してきた複雑分子系の化学反応の理論化学・計算化学的研究をさらに発展させることを目的として、本年度は、1化学反応径路自動探索法の構築と発展、2 複雑分子系の励起電子状態の化学反応、3 均一系触媒反応機構の解明、4 生体分子内での化学反応機構と動力学、5 炭素ナノ構造生成の機構と制御、のテーマについて研究を行った。 1 化学反応径路自動探索(GRRM)戦略の人工力誘起反応(AFIR)法を分子内反応および励起状態の反応に適用する拡張を行ったほか、非調和下方歪み追跡(ADDF)法をspin-flip TDDFT法に適用して複雑分子の最低円錐交差点を求められるようにした。AFIR法を種々の既知、未知のテルペン生成反応経路の探索に応用し、新しい経路を数多く発見した。 2 高精度電子状態理論(SMRG法、CASPT2法、DFT法など)を用い、スピロピランの光開環反応、ケテンの光分解反応、ルテニウム錯体の不可逆光異性化反応の機構と動力学を明らかにした。3 GRRM戦略を最重要方法として用いて、ランタニド錯体による水溶液中での向山アルドール反応の機構を明らかにしたほか、Rh錯体触媒によるベンゾシクロブテノールのCsp-Csp2結合とCsp3-Csp3結合の選択的解裂の起源、およびヘテロ並びにホモキラルな四級アミン塩触媒による不斉相間移動触媒の反応機構と立体選択性の起源を解明した。4 超分子銅-DNA錯合体を触媒として使った,分子内フリーデルクラフツ反応の機構を明らかにするため、MD法、ONIOM法などを組み合わせた理論計算を行い、エナンチオ選択性の起源を明らかにした。5 QM/MDシミュレーションにより、多環芳香族炭化水素生成反応における水素の役割を検討し、水素は欠陥修復と成長阻害の2つの役割を持っていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
GRRM戦略の拡張が予想以上に発展し,その応用の対象が一層広がった。 それに伴って、有機分子イオン異性化反応や触媒反応、光化学反応などの機構の解明が,予想より一層能率的に行えるようになってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は3年計画の最終年であるので、次の1. 化学反応径路自動探索法の構築と応用、2. 炭素ナノ構造生成及び反応の機構と制御、3. ONIOM法を用いた生体分子内での化学反応機構と動力学の3つの目標に向け、研究計画の完成を目指す。11で述べたように、GRRM戦略の拡張が予想以上に発展しているので、当初計画には無かった新しい有機分子イオン異性化反応や触媒反応、光化学反応などの機構の解明も実施する。
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