2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24245019
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 伸治 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40168563)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 / 二酸化炭素固定化 / ピンサー錯体 / 炭素-水素結合活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究ではまず、PGePピンサー型パラジウム錯体を用いるアルケンのヒドロカルボキシル化反応の検討を前年度に引き続き行った。二酸化炭素雰囲気下、リン原子上にエチル基、あるいはシクロヘキシル基を持つPGeP- ピンサー型パラジウム錯体を用い、還元剤としてトリエチルアルミニウムを用いると、単純アルケン、あるいは末端アルキンを基質とするヒドロカルボキシル化反応が、10を越える触媒回転数で進行することを見出した。さらに還元剤の種類について検討を行った結果、ギ酸アンモニウムを用いることにより、電子不足な芳香環を持つさまざまなスチレン誘導体が良好な収率でヒドロカルボキシル化されることを見出した。この反応では二酸化炭素雰囲気下にせずともギ酸アンモニウムから生成する二酸化炭素が反応にそのまま利用されており、効率の良いカルボキシル化反応である。次に、ロジウム錯体を触媒とする単純芳香族化合物の炭素-水素結合の直接カルボキシル化反応について検討を行った。その結果、ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタンを配位子とし、還元剤としてメチルアルミニウムメトキシドを用い、テトラメチル尿素を添加剤としてジメチルアセトアミド溶媒中で反応を行うことにより、良好な触媒回転数でカルボキシル化反応が進行することを見出した。本反応は、電子豊富な芳香環、電子不足な芳香環、さらにはヘテロ芳香環やフェロセンにも適用可能であり、非常に適用範囲の広い反応である。また、この反応はピラゾールを配向性官能基として持つアルケンに対しても適用可能であり、対応する不飽和カルボン酸を収率良く与えることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピンサー型パラジウム錯体を用いるヒドロカルボキシル化反応に関しは、単純アルケンに対する反応を初めて実現した。また、ギ酸アンモニウムを用いる反応により、強力な金属還元剤を用いることなく効率良くヒドロカルボキシル化を行うことに成功した。さらに単純芳香族化合物の直接カルボキシル化反応はこれまで実現困難とされてきた反応であり、これを実現出来たことは非常に価値の高い成果と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、アルケン類の炭素-水素結合の直接カルボキシル化反応の展開を重点的に検討する。さらに酸化的環化-β水素脱離によるアルケンからの不飽和カルボン酸合成に対し、さまざまな配位子設計に基づく研究に着手する。また光エネルギーを利用する反応についても研究に着手する。
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