2013 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価ヨウ素触媒を用いる環境低負荷型有機変換反応
Project/Area Number |
24245020
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石原 一彰 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40221759)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 触媒・科学プロセス / 合成化学 / 有機化学 / 環境対応 / 有機工業化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
超原子価ヨウ素触媒を3つのタイプに分け、環境調和型酸化的カップリング反応の開発研究を遂行した。 1.キラル第四級アンモニウムヨージド触媒を用いるエナンチオ選択的カップリング反応の開発:キラルビナフチル骨格を有する第四級アンモニウムヨージドを触媒前駆体に、過酸化水素もしくはアルキルヒドロペルオキシドを共酸化剤に用いてエナンチオ選択的分子内炭素ー酸素カップリング及び分子内炭素ー窒素カップリング反応が進行することを見出した。 2.キラルヨードソアレン触媒を用いるエナンチオ選択的脱芳香族環化反応の開発:乳酸由来のキラルヨードアレンを触媒前駆体に、m-クロロ過安息香酸を共酸化剤に用いてエナンチオ選択的分子内炭素-酸素カップリング反応を開発し、キラルo-ベンゾキノンスピロアセタールを高い光学純度で合成することに成功した。 3.IBS触媒を用いるベンジル位選択的酸化反応及びフェノール類の脱芳香族酸化反応の開発:2-ヨード-5-メトキシベンゼンスルホン酸を触媒前駆体に、オキソンを共酸化剤にフェノール類の位置選択的脱芳香族酸化反応を開発し、2-ヒドロキシシクロヘキサ-3,5-ジエン誘導体の高収率で合成することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.キラル第四級アンモニウムヨージド触媒を用いるエナンチオ選択的カップリング反応の開発:予想以上に基質適用範囲が広く、また、基質によっては新たな反応様式で閉環する例が見つかったことから、更なる展開が期待される。 2.キラルヨードソアレン触媒を用いるエナンチオ選択的脱芳香族環化反応の開発:キラルo-ベンゾキノンスピロアセタールのみならず、p-ベンゾキノンスピロアセタールも高エナンチオ選択性で合成できることがわかってきた。後者は遠隔不斉誘導が鍵であり更なる展開が期待される。 3.IBS触媒を用いるベンジル位選択的酸化反応及びフェノール類の脱芳香族酸化反応の開発:基質にトリアルキルシリル基を導入することにより、位置選択性と反応性が向上することを新たに見つけ、基質適用範囲が広がった。現在、この脱保護が課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.キラル第四級アンモニウムヨージド触媒を用いるエナンチオ選択的カップリング反応の開発:基質によっては新たな反応様式で閉環する例が見つかったことから、その反応機構を解明すると同時に合成上有用な反応とするため触媒の最適化を実施する。 2.キラルヨードソアレン触媒を用いるエナンチオ選択的脱芳香族環化反応の開発:遠隔不正誘導が必要なため、キラルp-ベンゾキノンスピロアセタールを高エナンチオ選択的に合成するのは難しい研究課題であるが、精密触媒設計によって達成できるものと考えている。 3.IBS触媒を用いるベンジル位選択的酸化反応及びフェノール類の脱芳香族酸化反応の開発:基質の配向基にトリアルキルシリル基が有効であることがわかったので、生成物からこのトリアルキルシリル基をどのような条件で除去するかが課題となる。除去容易なシリル基の探索と除去のための反応条件を研究する。
|
Remarks |
石原研究室のホームページです。
|