2013 Fiscal Year Annual Research Report
巨大誘電率をもつ酸窒化物ペロブスカイトにおける機能化プロセシング
Project/Area Number |
24245039
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉川 信一 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10127219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本橋 輝樹 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00323840)
鱒渕 友治 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80466440)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酸窒化物 / ペロプスカイト / 誘電体 / 結晶構造 |
Research Abstract |
大きな誘電率を持つことが指摘されている酸窒化物ペロブスカイトでは、その誘電率を検証するとともに利用するためには、焼結体を作成する必要がある。しかし高温で焼結するとたとえカプセルHIPしても窒素を部分的に放出して、電子伝導性を持つことが前年度に明らかになった。そこで本年度には以下のような検討を行った。 1.SrCO3を焼結助剤として2.5wt%添加し、1400~1450℃の温度範囲でCIP体を0.2MPaの窒素雰囲気中で焼結した。焼結時間および温度によって相対密度60~95%に緻密化した。しかし緻密化するほどアンモニア気流中でのポストアニールが困難になったものの、83%の相対密度であった1400℃で6時間焼結したのちに1000℃でポストアニールを12時間した試料は、焼結体の内部までSrTaO2N本来の赤褐色をしており、周波数依存性の小さな450程度の比誘電率と0.1以下の誘電損失を示した。 2.焼結プロセスを経ずに誘電率を評価するために、合成した酸窒化物の粉体をパラフィン中に混合割合を変化しながら分散した。得られた比誘電率の値を100%へ外挿したところ、SrTaO2Nでは500、LaTiO2Nでは1400の比誘電率が得られた。 3.白金及び金カプセルにSrTaO2N、La TaON2、及びLaTiO2Nをそれぞれ封じ、非加熱および600℃、7.7GPaの超高圧下で圧縮した。SrTaO2Nでは誘電性が保たれ、200程度の比誘電率が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SrTaO2N、LaTaON2、及びLaTiO2Nの各酸窒化物誘電体に関して、それぞれの熱安定性に関する情報がかなりそろってきた。またどのような化学組成をもつ酸窒化物ペロブスカイトが大きな比誘電率を示すのかについても、電子伝導性による寄与を排除して評価できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.SrTaO2Nは1000℃では部分的に窒素を放出して分解するところから、この温度以下での液相焼結を目指す。そのための焼結助剤として、ストロンチウムの窒化物、イミドおよびアミドを検討する。 2.LaTiO2Nでは、(La1-xSrx)TiO2N固溶体特にx = 0.2付近において最も鮮やかな褐色の粉体試料が合成できた。またそのパラフィン分散体で得られた比誘電率の値は約10,000と非常に大きな値であったところから、上記と同様に液相焼結を目指す。さらにこのペロブスカイト中における酸化物および窒化物イオンの分布について、中性子回折法によって調べる。
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