2012 Fiscal Year Annual Research Report
固体熱電変換デバイスによる欧州プロジェクト連携型自動車排熱発電システムの開発
Project/Area Number |
24246050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
飯田 努 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (20297625)
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Project Period (FY) |
2012-05-31 – 2016-03-31
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Keywords | 排熱発電 / 熱電変換 / マグネシウム・シリサイド / 環境半導体 |
Research Abstract |
本年度は以下の項目を実施し知見を得た。 (I). 新モジュール構造(ユニレグ型)の低熱損失化、高耐久化、高強度構造化 (1). 低熱損失化:従来有効な接合方法が示されていなかった発電モジュールと熱源の間について、熱流を精密に測定する装置を独自に開発し、耐熱性、絶縁性、間隙充填容易性、高熱伝導性の観点から窒化ホウ素(BN)ペースト、グラファイトシート、シリコーンコンパウンド、シリコーンゴム、ポリウレタンシート等を評価し、低温接合面にポリウレタンシート、高温接合面にBNペーストが最適であると知られ、従前モジュール構造に比し簡易なモジュール構造の可能性が示された。(2). 高耐久化:本研究室における従前の高性能n形不純物Sbを基礎とし、他不純物を同時添加(Sb+Zn、Sb+Al、Sb+Al+Zn)し、熱電気的特性・高温耐久性向上を狙った。Sb+Znでは従前試料より熱伝導率を改善し、ZT=0.98を得た。また、600℃1000時間の高温耐久性が得られ、今後Sb+Znを主原料として使用することとした。(3). 高強度構造化: Mg2Si発電素子の機械的特性を測定し、その特性値を用いた有限要素計算結果から、自動車用途の耐振動性を考慮した新構造発電モジュールを設計、シミュレーション評価し、従前のモジュール構造が有していた構造的弱点の克服に寄与するMg2Si排熱発電モジュールの試作を行った。 (II). Mg2Siナノ原料開発による高性能化 高エネルギー・ボールミルにより~100nmの微粒子化に成功した。パルス電流印加した放電焼結が緻密化に有効であることを見いだした。ナノ化原料による焼結体の熱伝導率は非ナノの試料より大きな熱伝導率を示した。これは粒界に沿った酸化物の存在が高い熱伝導率を示した原因ではないかという関連性に関する知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施内容の(I)新モジュール構造(ユニレグ型)の低熱損失化、高耐久化、高強度構造化、については、新モジュール構造の提案に必要な低熱損失化について概ね使用構成に関する知見が得られた。高耐久化については、本年度の取り組みに加え、他の不純物を探索する必要性はあるものの、従前より用いているSb添加原料をベースとしたZn添加試料で、高温耐久性向上と熱電気的特性が担保され、実用への技術開発という点で開発ステップを1段上がることが出来ている。高強度構造化については、本年度、有限要素計算シミュレーション評価を立ち上げたところであり、現段階では2Dによる機械特性および一部熱解析評価をメインとして新ユニレグ構造モジュールの設計指針および構造評価まで進めることが出来た。引き続き、有限要素計算シミュレーション評価については、3Dにおける機械特性、熱解析、熱電発電量評価を含めた包括的な有限要素計算環境を整え、より効果的なユニレグモジュール設計へと進めていく。 Mg2Siナノ原料開発においては、当初の想定より簡単に高エネルギー・ボールミルを使用した~100nmの微粒子化が実現された。これは使用したSbを添加した開発原料の基本性能が高かったことに起因すると考えているが、ナノ粉末原料の放電焼結プロセス時に酸化が起こり熱電変換特性の抑制が生じた。この点については、次年度以降引き続き重点的に取り組む必要がある事が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
(I).新モジュール構造(ユニレグ型)の低電気損失化、低熱損失化、高強度構造化 (1). 低電気損失化:Mg2Siに適した電極材料の探索.電子ビーム蒸着法、無電解・電解めっき法、一体焼結法の中での最適プロセス、および現状のNi以外の実用的な電極材を探索、(2). 低熱損失化:熱源からの熱フローを最小限のロスで発電素子へ導くユニレグモジュール構造の検討、(3). 高強度構造化:モジュール強度および実装デバイス機械的特性の向上:発電素子の加工条件と素子の機械的強度の向上 (II). Mg2Siナノ原料開発による高性能化 (1). C添加Mg2Si原料の合成と基礎熱電特性向上:Mg2Si(x)C(1-x)を全溶融合成法により作製し、マトリックス元素のSiとMgより小原子半径のC添加による熱伝導抑制と電気伝導向上条件を探索、(2). Sb添加Mg2SiおよびC添加Mg2Siナノ原料作製プロセス・発電チップ化プロセス開発:~100nmサイズのナノMg2Siパウダー作製と特殊放電焼結におけるナノパウダー酸化抑制プロセスの開発、(3). 計算科学手法によるMg2Siナノ粒子熱電特性・ドーピング特性:全電子第一原理計算コード(ABCAP)による電気伝導・ゼーベック熱起電圧予測、第一原理計算コード(ESPRESSO)による添加した不純物挙動、および有限要素計算による発電チップ・モジュールの発電特性予測
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Research Products
(20 results)
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[Patent(Industrial Property Rights)] 特許2012
Inventor(s)
飯田 努、大當 友美子、宮原 良輔、田口 豊
Industrial Property Rights Holder
東京理科大学、安永
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
特願2012-258776
Filing Date
2012-11-28