2013 Fiscal Year Annual Research Report
III‐V族pチャネルMOSFETのための価電子帯エンジニアリングと界面双極子制御
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24246058
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
安田 哲二 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 副研究部門長 (90220152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 辰郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (40357984)
宮田 典幸 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 研究グループ長 (40358130)
大竹 晃浩 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料研究ユニット, 主幹研究員 (30267398)
奈良 純 独立行政法人物質・材料研究機構, 理論計算科学ユニット, 主任研究員 (30354145)
藤代 博記 東京理科大学, 基礎工学部, 教授(Professor) (60339132)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電子・電気材料 / 半導体物性 / 表面・界面物性 / マイクロ・ナノデバイス / エピタキシャル |
Research Abstract |
GaSbの界面制御に関して、GaSb(001)面及び(111)A面につき超高真空のMBE環境で各種再配列表面を調整した上にHfO2/GaSb構造を作製し、表面構造がMOS界面特性に及ぼす影響を検討した。表面調整においては低速電子線回折(LEED)を活用した。その結果、Sb被覆率が小さいGaSb(111)A-(2x2)表面上で界面準位密度が最も低くなり、初期表面のSb被覆率と界面準位密度との相関が示された。更に、量産に適した絶縁膜形成法である原子層成長を用いて、GaAs基板上にGaSb層をエピ成長した基板上へAl2O3/GaSb構造を作製する場合について、成長前処理がMOS特性に与える影響を調べた。その結果、真空アニールによりGaSb表面の酸化膜を脱離させることで界面準位密度が3E12/cm2・eV程度と小さい界面を得た。このMOS構造を用いてのpMOSFET動作も確認した。量子補正モンテカルロ法を用いてMOSFETの電流駆動能力に影響を及ぼす因子を検討し、合金散乱と谷間散乱の重要性、及び、遅延時間分布が運動量分布変調、チャネル走行時間、運動量・エネルギー緩和に起因する3領域に分割されることを明らかにした。 Si基板上に高品質のGaSbを集積するために、ナノチャネルエピタキシー(NCH)法およびInAs中間層を用いてSi基板上にGaSb成長を行った。NCH法ではアンチフェイズドメインを充分に抑えるには至っていないが、(111)面にInAs中間層を形成した場合は良質なエピ膜が得られ、その上に形成したMOSキャパシタは、GaSb(111)Aバルク基板上の場合と同等の特性を示した。 荷電子帯エンジニアリングに関しては、InGaAsのInとGaの並び方が異なる複数の構造につき、第一原理計算により伝導帯と価電子帯の構造を調べ、有効質量の値が並び方によって有意に変化することを見い出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GaSbのエピタキシャル層高品質化とMOS界面制御の検討については、論文や学会で発表できるレベルの成果が出ており、今年度はpMOSFETの動作も確認している。価電子帯エンジニアリングについては研究分担者の長期海外出張のため進捗がやや遅れているものの、III-V族pチャネルMOSFETの高性能化を目的とした本研究課題の全体として見れば、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究により比較的良好なMOS界面特性が得られたGaSbについて、MBE環境で作製するHfO2/GaSb界面特性の更なる改善に向けて、表面構造の最適化を進めるとともに、Ge等の中間層挿入の効果を検討する。これと並行して、デバイス量産に適した原子層成長(ALD)において、GaSb表面のIII族およびV族原子による終端構造を制御するためのその場清浄化手法を検討する。これらにより、界面双極子の制御とMOS界面準位の低減を目指す。 GaSbを用いたpMOSFETについては、今年度すでにデバイス動作の確認を終えており、今後開発するMOS界面制御手法を適用したデバイス試作を行い、サブスレッショルドスロープやチャネル移動度といったデバイス特性の改善を試みる。また、Si基板上へのGaSb p-MOSFET集積に向けて、MBE装置を整備したうえでn型のGaSb(Teドープ)の成長実験を進める。更に、III-V MOSFET内の遅延時間の発生メカニズムについて引き続き詳細な解析を行い、遅延時間の抑制に有利な材料とデバイス構造を検討する。またデバイスと回路の統合シミュレーションにより動的インバータ特性を解析する。 InGaAsの価電子帯エンジニアリングに関して、本年度までの検討したタイプ以外のオーダリング構造に検討範囲を広げてバンド構造を計算し、InGaAsの軽い正孔を選択的にキャリア輸送に利用する可能性について理論計算の観点から検討する。
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