2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24246082
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東畑 郁生 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20155500)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内村 太郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60292885)
山田 卓 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70451789)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 減災 / 斜面崩壊 / 岩石 / 物理的風化 / 凍結融解 / せん断強度 / S波伝播速度 |
Research Abstract |
岩石が物理的風化過程を経てその機械的性質を劣化させてゆくプロセスを水で飽和させた岩石サンプルを凍結融解過程にさらして再現した。その後サンプルの中のS波伝播速度を測定するとともにせん断破壊させ、伝播速度とせん断強度との相関を調べた。使用した岩石は国内各地で採集した泥岩および花崗岩である。ただしこれら自然起源のサンプルは材料としての性質が共通ではないため、サンプル間の差異を直ちに風化の結果とみなすことが難しかった。そこで砂とセメントを混合・固化することによって人工軟岩サンプルを多数作成し、これにも同様の風化再現実験を実施した。さらに国内のみならず海外からも採集した小型岩石サンプルを用いて風化過程再現の後、ポイントローディング実験を行った。この実験は小型岩石で実験を多数迅速に行える利点があるが、実験結果の精度はやや劣るものである。 実験結果によれば、S波速度と強度の間には確かに相関があるものの、それは試料によって異なるものである。しかし興味深いのは、両対数グラフ上にプロットすると両者の関係が直線となり、さらにその勾配は試料によらず一定となることであった。このことは現場の斜面で一度だけ強度とS波速度を測定しておけば、その後の風化が進展した時点でも時間を要する強度測定が不要であり、簡略なS波伝播速度の測定だけで強度が推定でき、斜面の安定度が評価できることを意味する。 これらのデータを現場調査から得たデータと結合し、上記のような斜面安定度評価手法を組み上げた。 また地震荷重の影響を再現して実験を行う装置を製作した。現場状況の検討によれば、断層運動の影響が地震後の斜面安定度に及ぼす影響が大きいようである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置の仕様検討や設計でやや時間を費やしたものの、最終的にはこの過程をクリアした。同時に進行していた岩石実験等は順調に進み、データを取りまとめた。パキスタンや中国などで地震後に不安定現象が続いている地域を国内の大谷崩れなどと比較し、断層による岩石破砕の影響が大きいものと判断するに至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
地震荷重の実験を開始するとともに、水浸実験の手法も検討する。物理的風化過程においてS波伝播速度からせん断強度を推定する方法のめどが立ったため、同様の相関が地震荷重による劣化や水浸による劣化においても成立するかどうか、成立するとすればすべての相関は共通のものなのか状況により異なるものであるのかどうか、がポイントとなる。
|