2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24246082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東畑 郁生 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20155500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内村 太郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60292885)
山田 卓 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70451789)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 岩石 / せん断強度 / 断層 / 地震荷重 / クリープ / 軟化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2005年パキスタン北東部の大地震や2008年中国四川省の大地震の後、被災地の斜面が急速に不安定化して豪雨時に崩壊、災害を生じるようになった。我が国でも1707年に南海トラフで発生した宝永の大地震のあと、静岡県の大谷崩れが崩壊を始め、現在に至るまで不安定状態の続いている事例のあることに気付く。また山梨県南部の七面山崩れは遅くとも鎌倉時代には崩壊が始まっており、それが止まないまま現在に至っている。このような事例はいずれもムザファラバード断層、龍門山断層、糸魚川静岡構造線などの大断層沿いに位置しており、断層運動で撹乱された斜面は地震動で一気に弱体化して豪雨時に崩壊を起こす、というシナリオが推測される。また当初の研究段階では、断層や地震動による岩盤のせん断強度の低下のみを論じていたが、平成25年の伊豆大島の豪雨災害に臨み、崩壊を開始した岩盤には著しい軟化現象があり、これが長距離土砂流動を誘起して大災害につながることを悟り、研究の考え方を更新した。 新たな研究計画では、1)岩石サンプルに地震荷重に相当する力を繰り返し作用させ、撹乱を与える、2)この荷重は断層運動による撹乱とも共通である、3)その後ある時間サンプルを静置してクリープ変形させ、そのあと強度を測る載荷実験を行う、4)用意したサンプルはいずれもせん断破壊後に軟化するものであるが、先行する地震荷重で軟化度合いが変化するかどうかに着目する、とした。 実験の結果、破壊後に軟化する岩石は長期クリープのみでも破壊する、地震荷重によって岩石は力学的ダメージを生ずるが、これとクリープの影響とは等価・重ね合わせが可能である、すなわち地震荷重載荷後や長期クリープ後には材料強度が低下しているように見えるのは、地震荷重やクリープによって変形が過大となり、本来のせん断強度を発揮するひずみレベルを超過して軟化域に入っているからであることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
単に地震荷重の影響を評価できたのみならず、長期クリープとの等価性も実験的に示すことができた。この研究を行った修士論文は、平成27年3月に東京大学工学系研究科長賞を授けられた。
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Strategy for Future Research Activity |
実斜面あるいは縮小斜面模型を用い、加振および人工降雨を経て崩落と長距離流動を再現する実験を行いたい。そこでは崩壊斜面の流動性を測定し、山麓地域のハザードマップ作成に利用したい。
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Research Products
(2 results)