2013 Fiscal Year Annual Research Report
最悪地震動理論の信頼性向上とロバスト性・冗長性に優れた建物の構造設計法
Project/Area Number |
24246095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹脇 出 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20155055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 聖晃 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00243121)
吉富 信太 立命館大学, 理工学部, 准教授 (30432363)
藤田 皓平 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40648713)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 耐震設計 / 長周期地震動 / ロバスト性 / 不確定性 / システム同定 / 高層建物 / 受動型制振 / 極限外乱法 |
Research Abstract |
本研究の目的は,最悪地震動の概念と構造物の冗長性・ロバスト性の概念を巧みに組み合わせた信頼性の高い耐震設計法・構造設計法の枠組を創出し,「想定外の地震動」に対しても急激な耐震性能の劣化を伴わない建築構造物の設計を可能とする体系を構築することにある。同時に地震動入力と構造物特性の両者の不確定性を考慮した最悪ケースの想定に基づく新しい構造設計の枠組を構築する。今年度において以下の成果を得た。 1) 常時微動観測記録と強制加振実験データを用いた建物のシステム同定法の妥当性と精度を検証するために、京都大学宇治キャンパス内に存在する実大5層鉄骨建物を用いた実験を実施した。その結果、微動計(速度計)を用いた常時微動観測記録については、データのwindow処理などを適切に行うことにより、提案同定法による結果は予備解析結果と良好に対応することを明らかにした。また、H24年度に導入した起振機を用いた強制加振実験による同定では、加速度計を用いたため、ノイズの影響が無視できないことが明らかとなった。今後、ノイズ処理方法について検討を継続したい。 2) 免震と連結制振を組み合わせた新しい建物システムについて、長周期地震動とパルス性地震動に対する応答特性を検討した。本ハイブリッドシステムは、パルス性の地震動と長周期地震動の両方の応答低減に対して有効であり、単一システムに比べ地震動特性の変化に対して高いロバスト性を有することを明らかにした。 3) H24年度に製作した模型を用いて、曲げせん断型モデルに対する提案システム同定理論の精度と信頼性について再検討を行った。また、理論の課題についても明らかにした。H26年度以降の理論展開に役立てる予定である。 4)連結制振の構造原理を明らかにした。2棟建物間の剛性比、質量比により固有振動特性に関する領域分類を行い、それぞれの領域における減衰特性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、免震と連結制振を組み合わせた新しい建物システムは、単一システムに比べ地震動特性の変化に対して高いロバスト性を有することを理論的、解析的に明らかにした。また、当初計画通り、連結制振の構造原理を明らかにした。地盤の影響を考慮した点は新たに組み込んだ点である。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度に、実際の建物について構造ヘルスモニタリング手法を適用し、その精度妥当性を明らかにした。H26年度においては、別の建物についても適用を考える。また、損傷同定の実験も実施する。
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