2012 Fiscal Year Annual Research Report
油糧バイオマスから健康機能物質とバイオ燃料の同時製造を実現する新反応・分離技術
| Project/Area Number |
24246127
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
| Research Institution | Tohoku University |
|---|
Principal Investigator |
米本 年邦 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40125688)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 一紀 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50540358)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
| Keywords | プロセスシステム設計 / 反応・分離技術 |
|---|
| Research Abstract |
本研究では、油糧バイオマスに含まれる抗酸化活性の高いビタミンE類や血中コレステロール濃度を下げる植物ステロール、摂取不足が問題となっている必須栄養素ω-脂肪酸（EPA、DHA）などの脂溶性健康機能物質を選択的に回収すると同時に、高品質脂肪酸エステル（バイオディーゼル燃料）を製造する独創的な反応・分離技術を確立することを目指す。
反応分離装置には、触媒あるいは吸着剤となるイオン交換樹脂を充填したカラムを用いるが、樹脂は溶媒との親和性に応じで大きく膨潤、収縮する。そのため、カラム内にデットスペースが生じ、反応や分離効率が低下することが問題となっている。この問題解決のため、本年度は、まず、出口フィルター部が可動する高さ可変式装置の設計・製作に取り組んだ。反応器サイズは、内径8cm、高さ50cmとし、出口フィルター部は高さ20-50cmの範囲で可動し、その位置と移動速度を電子制御によって自在にコントロールできるものとした。この装置の有効性を証明するため、まず、米ぬか油を用いて脂肪酸エステルの連続合成実験を行い、出口フィルター部の高さ位置を固定した状態と樹脂の膨潤程度に応じて変化させた状態での反応挙動を比較・検討した。そして、高さを適切に変化させた場合に、エステル生産性がより高くなることを示した。現在、この高さ可変式装置の適切な運転条件の探索を行っている。並行して、回分系で種々の性状の樹脂を用い、原料油に含まれる植物ステロールの回収実験を行っている。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた①米ぬか原油の脂肪酸エステル化条件の検討と植物ステロールを選択的に吸着可能な樹脂の探索、と②植物ステロールの脱離条件の探索と分離工程の連続化、について研究を遂行し、米ぬか油を用いた脂肪酸エステルの連続合成、および回分系でのイオン交換樹脂による植物ステロールの回収に関して重要な知見が得られた。また、効率的な反応・分離を行うための高さ可変式反応装置の設計・制作を行った。
以上より、当初の予定通り順調に進行していると考えられる。
|
| Strategy for Future Research Activity |
イオン交換樹脂法を用いて得られた脂肪酸エステルを試料として、種々のイオン交換樹脂を吸着剤とした植物ステロールの吸着実験を行う。疎水性相互作用によって有機物の分離精製を行うための市販の芳香族系合成吸着剤Diaion HPシリーズの樹脂を第一の吸着剤候補と考えている。第一候補の樹脂でステロールの回収ができなかった場合、疎水性相互作用を用いて分離を行う別の吸着剤として、セパビーズＳＰシリーズを用いる。
また、植物ステロールを吸着させた樹脂を用い、溶離液を適切に選定することで、ステロールを脱離・回収する回分実験を行う。ステロールがアルコールに良く溶けることから、溶離液にはエタノールあるいはイソプロパノールを用いる。また、分離工程の連続化では、新たに設計・製作した樹脂層高さに応じて出口フィルター部が可動する高さ可変式の分離装置を用い、効率的な連続分離システムの開発を行う。
|
