2012 Fiscal Year Annual Research Report
ソーラー熱化学水素製造を目指した硫酸分解触媒の開発
Project/Area Number |
24246130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
町田 正人 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (70211563)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2015-03-31
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Keywords | 触媒・化学プロセス / 再生可能エネルギー / 水素 / 新エネルギー |
Research Abstract |
①硫酸分解触媒の設計および合成:硫酸分解反応は金属酸化物の硫酸塩化とその分解の素過程から構成されるとの作業仮説をもとに、酸化物触媒候補物質を選定した。材料・反応熱力学計算をもとに反応過程のエネルギー計算および項目②の触媒活性測定との対比から、耐熱性、耐蝕性、高活性、コスト、資源リスク、毒性などを考慮して触媒組成を絞り込んだ結果、Cu-V系などのバナジン酸塩を選定した。これらの候補物質は従来の研究では検討された例が無い、新規な高性能触媒である。項目②で用いたスクリーニング用の触媒を共沈法および固相反応法で調製し、結晶構造を決定するとともに比表面積を評価した。 ②硫酸分解触媒の性能評価:多様な金属酸化物の触媒活性を測定する硫酸分解試験を安全に行うために、排気およびスクラバ付き触媒反応測定システムを製作した。45~95%硫酸を450℃で熱分解して、生じるSO3を触媒でSO2へと分解する手法をとった。反応率はヨードメトリ滴定および気体酸素分析を用いて算出する方法を確立した。触媒活性の温度依存性(600~800℃)および経時変化(~24 h)を測定し、使用前後の触媒の構造(X線回折、ラマン、FT-IR)および組成(蛍光X線分析)の変化と併せて、触媒活性および耐腐蝕性を評価した。候補物質として選定されたCu-V系などのバナジン酸塩は、バナジン酸骨格が硫酸塩化に対して耐性を有し、Cuの酸化還元に起因する触媒活性が発現するため、高いSO3分解性能が発現することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(理由)熱力学的考察をもとに触媒設計した結果、硫酸分解触媒として従来検討されてきた物質とは異なる新規な活性酸化物を見出すことができた。貴金属や希土類元素を含まず、資源的により豊富なCuおよびVから構成され、600℃程度の低温域で高いSO3分解活性を示すことから実用的にも注目できる。今後、多孔化および階層構造化による構造制御を適用することで、白金触媒を凌駕する性能を達成することも十分期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画にしたがい、反応機構の解析と計算科学的手法を駆使して候補物質の高い触媒活性の要因を究明し、触媒設計にフィードバックする。さらに多孔化、階層構造化などの構造制御によって高性能化を図り、実用性能と耐久性とを兼ね備えた硫酸分解触媒を開発する。
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Research Products
(4 results)