2013 Fiscal Year Annual Research Report
ソーラー熱化学水素製造を目指した硫酸分解触媒の開発
Project/Area Number |
24246130
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
町田 正人 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (70211563)
|
Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2015-03-31
|
Keywords | 触媒・化学プロセス / 再生可能エネルギー / 水素 / 新エネルギー |
Research Abstract |
①硫酸分解触媒の性能評価: 前年度に高活性を示すことが明らかになったCu-V系をはじめとするバナジン酸塩触媒について担体、担持法、組成の最適化によって酸化還元性と耐熱性とを改善した結果、硫酸分解率を平衡転化率近くまで高めることに成功した。昇温ガス分析法により、反応中間モデル物質である硫酸塩からのSO2発生量ならびに発生速度の相関を解析した結果、酸化還元作用に起因する反応機構を突き止めた。また、低温域における硫酸分解反応を促進するための助触媒成分としてアルカリ元素の効果を見出した。 ②硫酸分解触媒の構造・物性評価: X線吸収微細構造、高分解能電子顕微鏡、光電子分光などを駆使してバナジン酸塩の局所構造を調べた。触媒の酸素吸放出挙動と結晶構造変化をX線回折、ラマン、FTIR等により調べた結果、Cu2+のCu+への還元に起因するバナジン酸塩の格子酸素の欠損が、SO3分解活性を促進することを見出した。 ③階層構造制御による高性能化: バナジン酸塩の融解現象を利用して活性サイトの表面露出率が最大となるような構造制御を図った。テンプレート法で合成したメソポーラス酸化物にバナジン酸塩を高分散に担持した後、バナジン酸塩の融点以上に加熱して、細孔表面に融液が薄く拡がった階層的なマイクロ-メソ孔二元構造を構築した。得られた試料の細孔構造を高分解能電子顕微鏡で観察すると同時に吸着法により比表面積および細孔分布を測定して解析した。生じたメソ・マクロ孔とその細孔壁に薄膜状に析出したバナジン酸塩とから構成される階層構造が最も高活性であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
触媒成分であるバナジン酸塩を多孔性担体に担持後、融点以上に加熱するという全く新規な触媒調製法を開拓し、階層構造を有する高活性な硫酸分解触媒を得ることに成功した。得られた触媒は白金などの貴金属触媒を上回る触媒活性を示しており、実用的にも貴重な成果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画にしたがって触媒の局所構造を詳細に解析して、最適化を図る。特に担体とバナジン酸塩の階層構造の精密制御を試みる。また、反応機構をその場分析法等を活用してさらに詳細に解析し、触媒活性および耐久性の向上を図る。現在、候補物質として主に用いているバナジン酸銅以外にも種々のバナジン酸塩の触媒特性と構造・物性との相関を調べ、本触媒系の触媒機能を体系化する。
|
Research Products
(15 results)